能登半島地震を「コロナ怖い」に利用する人たち いまだに恐怖をあおる専門家とメディア(中川淳一郎)

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 能登半島地震では、X(旧ツイッター)で、「避難所に入る人はマスクをしてください!」と絶叫する時代遅れな方々が多数登場したほか、避難所でもPCR検査をして陽性者を炙り出し、それをメディアが「〇〇の避難所で□件の陽性報告」なんて記事を出している。

 2023年5月8日にCOVID-19を感染症法上の「2類相当」から「5類」に引き下げたことから一応コロナ騒動は終わったことになりました。でも、震災を利用して終わらせたくない人々がいる。

 あのさ、もう5年目ですよ……。丸4年を過ぎても「新型」であり続けたものなんてこれまでありましたか? 「新型」を4年以上続けるって、常に閉店セールをやってる店かっつーの!

「新型」と言い続けることにより、いつまでも「未知の恐怖」を喧伝できるわけですが、4年以上「まだ不明の部分がある……」と繰り返している専門家や政治家、メディアは無能の極みだな。単に終わらせたくないだけだろ。海外は「COVID-19」なのに日本は「新型コロナウイルス」。まだまだ怖さをあおりたいのでしょうね。もう付き合えん。

 今から予想しておきますが、コロナ騒動継続を推進した政治家・メディア・専門家・医師・コロナを極度に怖がった「コロナ脳」を含む一般人はこんなストーリーにもっていきたいと考えている。

〈新型コロナウイルスが日本で収束したのは、専門家による素晴らしい提言を政府・各自治体首長・厚労省が適切な判断をして実行に移したことが大きい。そして、彼らはワクチンを希望する人に行き渡らせ、民度と利他的精神と公衆衛生意識の高い国民はマスク着用を含めた適切な感染対策と献身的なワクチン接種に協力。これでコロナは収束〉

 このままだとこの約4年間の新型コロナ騒動は「美談」として後世に語り継がれることになりますよ。学校教科書にも「スペイン風邪以来100年ぶりの未曾有のパンデミックを国民の頑張りで克服した」で終わり。営業停止要請やらで廃業に追い込まれたり自殺した人々、行事を軒並みつぶされた生徒・学生は「献身的な国民」ということにされ、その我慢が称賛されるだけに。

 私のように「あのさ、総括しろ! 本当にあの感染対策は効果があったのか? 過剰対応だっただろ? そしてワクチン接種後の不調を訴える人が多いこと、接種後死亡で厚労省が因果関係を否定できないと見舞金4420万円を払った件に関し、推進した側の責任は問われないのか、エッ!」と申す者がいるが、哀れ従順な日本人どもは、むしろわれわれを批判する。

「もうさ、コロナ、終わったんだからいいじゃん、さぁ、前を向いて一歩踏み出しましょうよ。今はさ、能登半島地震の被災者もいるしさ」

 尾身茂氏が理事長を務めていた地域医療機能推進機構(JCHO)は「幽霊病床」があったにもかかわらず300億円以上の補助金を取得。こうしたことも検証されず、今後日本国民は増税・社会保険料値上げに苦しむのでしょう。新型コロナを怖がり過ぎ、過剰感染対策とワクチン追加接種を求めた方々は文句を言う資格はありません。そして被害者は報われない。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2024年1月25日号掲載

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