和田毅(42)の“人身御供”にオーナーサイドへの忖度のカゲ 「秘密は墓場まで」で甲斐野(27)に破格の“厚遇”も

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“山川への打撃”も意図した可能性

 別のパ・リーグ編成担当によると、和田をプロテクト外としたことにはソフトバンクなりの勝算があったという。

「和田の年俸は高額(推定2億円)で、人件費が潤沢ではない西武は指名してこないと高をくくっていたのではないでしょうか。ただ、考えてみれば山川が移籍したため、資金には余裕があったはず。中心選手に若手が多い投手陣に、和田の野球に取り組む姿勢や考え方が好影響を及ぼすことも期待できます。現状でも勝ち頭が(10勝の)有原(航平)という先発陣が手薄なソフトバンクに大きなダメージを与えることは、同じパ・リーグのライバル球団としては好手と判断したのだと思います」

 しかも西武は過去にも巨人から江藤智、内海哲也とベテランをFAの人的補償として獲得している。ソフトバンクの見立ては甘かったと言わざるを得ない。

 さらに西武側の思惑を探ると、結果的に山川と和田のトレードになれば、山川には一層、逆風が強まっていたことだろう。性加害問題が尾を引く中で、ソフトバンクの功労者を追いやってまでの移籍なら、今季の山川のプレーに対するファン、同僚からのプレッシャーは計り知れない。西武はそのことさえ見透かした上で、和田の獲得方針を固めたとみる向きもある。

オーナーサイドの圧力説

 さすがの西武もしかし、ファンの拒絶反応は予期していなかったに違いない。それはソフトバンクも同じだったようだ。

「いったんは和田で固まっていた方針を見直さざるを得ず、直接、リスト作成には関わっていなかった王(貞治)会長も乗り出す事態になったようです。和田は孫(正義)オーナーの奥さんのお気に入りの選手でもあり、オーナーサイドから王会長を通じて何らかの介入があったのかもしれません。和田が西武移籍するなら引退すると強硬な態度に出ていなかったとしても、最終的にオーナーサイドが移籍を許していたかどうか……」と、さる球界関係者は大きな圧力の影に言及した。

 いずれにしてもソフトバンクは是が非でも和田以外で、西武と話をまとめる必要性に迫られていた。

「ソフトバンクが自分たちの都合で、西武に和田から手を引いてもらうからには相応の選手を供出しなければなりません。プロテクト名簿というものの中身は2球団にしか分かりません。たとえ甲斐野を名簿に入れていたとしても、人的補償に充てることは可能です。長く続く制度では明日はわが身で、お互い様という面があり、有名無実化というよりは弾力運用という方が適切かもしれません」(前出の在京球団編成担当)

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