ソフトバンク球団への信頼は地に落ちた…「和田毅」流出騒動が“致命傷”になりかねない理由

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“電撃移籍”報道の直後に急展開

 1月11日朝、プロ野球界に大きなニュースが飛び込んできた。日刊スポーツが「山川穂高の人的補償に和田毅指名へ 近日中に発表 ソフトバンクの顔が衝撃の移籍」と一面で報じたのだ。山川穂高のフリー・エージェント(FA)による獲得を巡っては、昨年、彼自身が起こした不祥事によって西武球団から出場停止処分を受けていたこともあって、否定的な意見が多かった。その人的補償が、ダイエー時代から先発の柱として活躍し、NPB通算158勝をマークしている、“球団の顔”とも言える和田ということで、プロ野球に関するニュースやSNSはこの話題で持ちきりとなった。【西尾典文/野球ライター】

 しかし、その日の夕方、事態は急展開を見せた――。

 西武が人的補償として和田ではなく、投手の甲斐野央を獲得したと正式に発表したのだ。スポーツ紙が一面で移籍する選手を大きく報じながら、その日のうちに違う選手が正式発表されるというのは“異例の事態”である。

 和田の移籍については、日刊スポーツ以外にもテレビ西日本など地元メディアまで大々的に報じており、そのことから全くの“ガセネタ”とは考えづらい。1月12日付の日刊スポーツは、西武が和田の獲得を打診したものの、11日の報道に対するファンの反響が大きく、両球団が話し合って急きょ方針を転換したと報じている。

 ソフトバンクの三笠杉彦ゼネラル・マネージャー(GM)は、和田獲得の打診について「コメントはありません」とノーコメントを貫き、西武の渡辺久信ゼネラル・マネージャー(GM)は「甲斐野に決まったのは(11日)当日」と話すにとどまっている。ホークスファンを中心に、ソフトバンク球団に対する批判が殺到して、和田ではなく甲斐野が選ばれたという見方が出ている。

42歳の昨年もチーム2位の勝ち星をマーク

 そして、今回の騒動でもうひとつはっきりしたことがある。それは和田が人的補償での獲得対象外となる、いわゆる「プロテクトリスト」の28人から漏れていたということだ。前述した通り和田はチーム内で最も実績のある選手であり、42歳となった昨年もチームで2位となる8勝をマークしている。

 また、ダイエー、ソフトバンクで6度の日本一を経験し、昨年12月の契約更改の場では若手の育成選手の姿勢に苦言を呈するなど、グラウンド外でもその存在感は絶大なものがあるのだ。

 ソフトバンクの球団関係者は、和田について以下のように話している。

「実績はもちろんですが、野球に取り組む姿勢が本当に素晴らしい選手で、あらゆるデータについても率先してピッチングに生かそうとしています。また投手に多い“孤高”の存在とは真逆のタイプで、若手に対してもアドバイスを惜しみません。その人柄を慕う選手は非常に多いと思います」

 実際、この1月に長崎で行っている自主トレにも他球団の選手が多く参加しており、総勢は16名にのぼる。大ベテランであり、残りの現役生活が長くない可能性が高いとはいえ、これだけ影響力のある選手がプロテクトリストから漏れていたという事実が、球団に与えたインパクトは極めて大きい。

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