吉高由里子主演「光る君へ」は「どうする家康」の雪辱を果たせるか 唯一のウィークポイントとは
吉高由里子(35)が主演する大河ドラマ63作目の「光る君へ」(日曜午後8時)が7日から始まる。前作「どうする家康」は全48回の平均個人視聴率が6.7%(世帯は11.2%でワースト2位)と、2020年4月の計測開始(視聴率調査のリニューアル)以来、歴代大河で最低の数字にとどまった。その雪辱を果たせるか、行方を占う。※視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】
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初めて平安中期の貴族を描く
吉高が紫式部を演じるのは知られている通り。平安中期に当たる970年ごろから1030年ごろまで生きた歌人、作家である。紫式部は通称で本名は不明。この作品内では「まひろ」と呼ばれる。制作陣が創作した名前だ。
「平安時代の多くの女性の名前は判然としません。紫式部も然りです。そこで私たちは、心に燃えるものを秘めた個性的な主人公に『まひろ』という名を付けました」(制作発表で制作統括の内田ゆき氏)
紫式部という通称の由来も諸説ある。その1つによると、当初は藤式部(とうしきぶ、とうのしきぶ、ふじしきぶ)と呼ばれていた。藤原一族の一員である父・藤原為時(岸谷五朗・59)が、役人養成などを担当する式部丞(しきぶのじょう)という官職についていたからだ。
紫式部と呼ばれるようになったのは、著した長編小説「源氏物語」が人気となり、その「『若紫』の巻」が特に評判となったためとも。また、その時期を江戸時代以降とする説もある。
そもそも、なぜ紫式部が今回の大河の主人公なのか。これは男性ばかりに偏らないようバランスを考えたことも背景にあるようだ。
平安中期の貴族社会を描く初の大河
2000年代の大河はダブル主人公を含めると、女性の主人公が3作だった。2010年代は上野樹里(37)主演の「江~姫たちの戦国~」(2011年)、綾瀬はるか(38)主演の「八重の桜」(2013年)、井上真央(36)主演の「花燃ゆ」(2015年)、柴咲コウ(42)主演の「おんな城主 直虎」(2017年)の4作である。
ところが、以降、男性の主人公が6作も続いた。ジェンダーレスの時代にも関わらず、バランスの悪い状態に陥っていた。
ほかにもバランスの問題はある。大河は1963年から「どうする家康」まで62作つくられたが、「光る君へ」と同じ平安中期(901~1093年)を描いた作品は1976年の第14作「風と雲と虹と」のみ。しかも、主人公は桓武天皇の子孫ではあるものの、武士の平将門(故・加藤剛さん)。当時の権力を握っていた貴族たちではなかった。
「光る君へ」は大河で初めて平安中期の貴族社会にフォーカスを合わせる。制作陣には描かなくてはならない世界だという使命感があったようだ。
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