「看取りは儲かる」「“死に際”すらビジネスに」 介護制度の知られざる真実

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 高齢化が進み、年間死者数が150万人を超える多死社会に突入した日本。疲弊した社会保障制度の中で、介護業界が目を付けたのは「看取り」だった。サービスの対象として単位化され、報酬の源泉となった老人の死に際。果たしてこれが、我々の望んだ社会なのか――。
(「週刊新潮」2023年7月27日号掲載の内容です)

10人に1人は老人ホームで最期を迎える

 いかに死ぬか――。

 どう生きるかが重要視される現代にあって、どう人生の幕を下ろすかは誰もが避けて通れない問題である。特に「病院死」が大半を占める我が国において「どこで死ぬか」は多くの人の関心事であり続けた。

 介護保険制度がスタートした2000年、老人ホームで亡くなる高齢者は全体の1.9%に過ぎなかった。それが20年には9.2%にまで増加し、今や10人に1人は老人ホームで最期を迎える時代。終末期に差し掛かった高齢者にとって、介護施設での看取りが「病院死」「在宅死」に次ぐ第三の選択肢となっているのだ。

 本誌(「週刊新潮」)ではそんな介護の現場で、事業者による「囲い込み」や「介護漬け」が横行し、虎の子の「介護保険」が破綻の危機にあることを報じた。

 だが問題はそれだけにとどまらない。近年の介護業界で、決してホンネで語られない事実。それこそが「看取り」なのである。

 介護施設を探したことがある人なら一度は「看取り対応可」や「ターミナルケア」と謳う施設を目にしたことがあるのではないだろうか。実は、このように介護事業者が「看取り」を前面に押し出して宣伝するのには理由があった。

 誤解を恐れずに言えば、「看取りは儲かる」のだ。

 有料版では、終末期介護のカラクリと制度疲労を起こした介護保険制度が突き付ける過酷な現実をレポートする。

デイリー新潮編集部

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