広末涼子、斉藤由貴から同僚、知人まで 「不倫脳」になってしまっている人に投げかけるべき言葉とは?

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今年も数多くの不倫が報じられた

 早いもので2023年も1年をプレイバックする時期に入った。

 有名シェフとの関係だけでなく、あまりに生々しい交換日記その他まで流出し、活動を休止することになったのは女優、広末涼子。

 不倫から妻のMEGUMIとの離婚に至るプロセスで発したコメントなどが強い批判を浴びたのは、Dragon Ashの降谷建志。

 ひと昔前なら「芸人らしい」と片付けられそうな地方での浮気でことのほかダメージを受けたのは、ジャングルポケットの斉藤慎二。

 かつて交際が報じられた相手の職場前で取り乱した様子の画像が流出してしまったのは、女優、斉藤由貴。

 今年もまた多くの有名人の不倫が報じられ、ほとんどのケースで当事者たちの人生の転換点となった。もちろん運命が好転するケースは皆無で、基本的には暗転しかない。
 
 本来は当事者の問題に過ぎないのだが、芸能人など有名人の場合はイメージそのものをマネタイズしている面があるため、影響は家庭内ではおさまらないのが通常である。要するに迷惑をかける範囲が広いのだ。

 異性との交遊が「芸の肥やし」などといって通用していた昭和の時代とはまったく状況が異なる。スポンサー、テレビ局、SNS世論を軽くみたら大ダメージを受ける――そんなことはもちろんとっくに彼らも理解しているはず。にもかかわらず、毎年、一定数の有名人が「スクープ」の対象となり、釈明に追われたり、一時的に表舞台から姿を消したり、ということになる。

 今年不倫が報じられた中では、広末のダメージが最大だったかもしれない。

事情は一般人も同じ

 芸能人には学習能力がないのか。そう思われる方もいるだろう。しかし、実のところ、一般人であっても事情はさほど変わらない。

 裁判所が公開している司法統計情報を見てみれば一目瞭然である。

 最高裁判所事務総局の「司法統計年報」では「婚姻関係事件数―申し立ての動機別」の表が掲載されている。

 要するに結婚している男女が何を理由に申し立てをしてきたかだ。

 令和4年の申し立ての総数は「夫」が1万5176件、「妻」が4万1886件。その申立人の言う動機のうち主なものを3個まで挙げる方法で調査をしたところ、夫、妻ともに「性格が合わない」がトップとなっている。夫は9127件、妻は1万6151件だ。

 以下、夫側の動機の2位が「異性関係」(1779件)、3位が「浪費する」(1723件)、4位が「性的不調和」(1669件)。

 一方、妻側の動機は2位が「暴力を振るう」(7861件)、3位が「異性関係」(5655件)、4位が「浪費する」(3531件)。

 この傾向は他の年を見てもほぼ同様で、「異性関係」はトップ3の常連となっている。もちろん不倫以外の問題もあるだろうが、多くは不倫の類だとみても構わないだろう。しかもこれはあくまでも裁判にまで至ったケースのみなので、実際には全国各地で常にこの種のトラブルが発生しているのは間違いない。

 多くの人の実感としても、社内あるいは近隣でこの種の話をまったく聞いたことがないという方はあまりいないのではないか。真偽はさておいて、「あの人とあの人が怪しい」とか「あの夫婦は不倫がもとで離婚した」といったうわさ話はそう珍しくない。

 こういう場合、第三者の反応としては見て見ぬふりをするか、面白がるかが一般的だろうが、親切な人は忠告をすることもある。

 しかし、多くの場合、忠告は聞き入れられない。

 単なる遊びならともかく、真剣に「これが本物の恋だ」と思っている側は聞く耳を持たないからである。芸能人の場合でも、こちらのパターンのほうが後々受けるダメージは大きい。広末涼子はその代表といえるだろう。

 客観的に見れば、ハッピーエンドを迎える確率は極めて低く、子供をはじめ周囲に多大なダメージを与える「不倫」をどう諫めればいいのか。

「不倫だって恋は恋」と語る47歳

 恋愛小説の名手として知られる直木賞作家の唯川恵さんは、新著『男と女―恋愛の落とし前―』を執筆するにあたり、36歳から74歳までの「大人の女性」たちに、それぞれの恋愛についての話を聞いている。

 多くは不倫だが、遊びという意識を持つ女性は少なく、「本物の恋」「最後の恋」といった気持ちだという。唯川さんは、それぞれのエピソードを紹介したうえで、常識的かつ客観的な視点からの見解、アドバイスを述べている。さながら、不倫に関するアフォリズム(警句)集といった趣もある同書から、「恋の力に目覚めた」と語る47歳女性に関する文章を引用してみよう。彼女は40代半ばの時、以前勤めていた会社の同期会で再会した同僚と、その日のうちにホテルに行き、以来、男女の関係を続けているのだという。

 お互いに既婚者なのだが、彼女は「不倫だって恋は恋ですよね」と口にするほど、相手に夢中である。

「他人にどう思われようといいんです。私は恋だと思っているし、今の私たちには必要な時間なんです」

 そんなふうに語る彼女の「恋」を唯川さんは同書の中で遠慮なく斬っている。もしかすると、恋する気持ちで冷静さを欠いている周囲の人に教えてあげるといいかもしれない。(以下、引用はすべて同書より。一部表現を改めています)

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不倫脳

 よく聞く不倫脳とはこういうことを指すのかもしれない。

 何だかんだ言いながら、彼女は自分のやっていることを肯定する言葉しか持ち合せていない。そして当然のように夫と同期させて、納得している。

 夫が妻の不倫を知った時、果たして彼女と同じ考えを持つだろうか。腹立たしさ、屈辱感、裏切られたという失望。何より、他の男と浮気している妻に対する嫌悪感。生理的感情は女独特と思われがちだが、男にだってあるはずだ。いやむしろ強いかもしれない。

 彼女の「バレない」「たとえバレても離婚はない」との自信は、単なる願望でしかないことを、彼女はどこまで自覚しているのだろう。

不倫はバレてからが本番

 個人的に、不倫をとやかく言うつもりはなく、それは夫婦や家族の問題であって、部外者が正論を振りかざす権利はないと思っている。

 世の中には不倫なんてものに縁のない夫婦もいるが、不倫に走っている夫婦もそれ相応にいる。不倫していないから仲がいいかといえば、完全に壊れてしまっている夫婦もいるし、妻が、夫が、もしくは双方が不倫していても、それはそれで仲良く暮らしている夫婦もいる。婚外恋愛を互いに公認しているという、特殊なケースも知らないわけではない。
 
 しかし不倫は、することより、バレてからが本番である。

 その時は不意にやって来る。もしかしたら彼女の場合も、すでに夫は気付いていて、水面下で動き出しているかもしれない。
 
 その時、今まで恋に浮足立っていて、気が回らなかった自分の立場と直面することになる。自分だけじゃない。夫の感情、不倫相手の本音、さらに相手の妻の言い分、それらが具体的な形を持って目の前に突き出される。

 もし夫から離婚を切り出された時、彼女はどう対処するつもりだろう。婚姻関係が解消されるということは、ひとりに戻るということ。すでに仕事を辞めてしまった彼女は、もう専業主婦でも扶養家族でもない。住む場所は? 仕事は? 収入は? これからの生活は?

 調べてみると、結婚20年くらいの夫婦で、不貞が原因での離婚の場合、一般的な慰謝料は100万から300万くらいが相場らしい。仕事をしていない彼女は、その金額をどう用意するのだろう。財産分与と相殺するという手もあるようだが、あくまで、財産を折半してもそれくらいの額が残る場合の話である。
 
 また、当然ながら彼女は相手である彼の妻からも慰謝料を請求される可能性がある。更に、夫は彼女の不倫相手に慰謝料を請求する権利がある。

男は立場を優先するはず

 そうなった時、不倫相手である彼はどのような態度を取るだろう。妻と別れ、彼女と結婚する。確かにそれもないとは言えないが、ふたりの状況を聞く限り、その可能性は極めて低いのではないかと推察する。彼女は恋と言ったが、彼にとっては単なる浮気でしかないという気がしてならない。
 
 きついことを言うようだが、彼がバレないよう慎重だったのは、彼女のことを思ってではない、自分を守るためである。それは当然で、男は社会的な生き物であり、夫として、父親として、会社員としての立場を何よりも優先する。それはとても分かりやすい構図だと思うのだが、今の彼女は思い至らないようである。

 不倫は他人が口出しするものではないと、先に書いた。

 それでも、これだけは言わせてもらいたい。

 どんなに恋にとりつかれても、この先に待っているものは何なのか、その想像力だけは失わないで欲しい。ひとりの女でありたいという願望の代償として、何を失い、誰を傷つけ、ダメージはどれほどのものなのか、それらをすでに考える時期に来ていることを自覚しておいて欲しい。

 と同時に、それを踏まえた上での落とし前のつけ方を、今のうちから準備しておくことをお勧めする。

 ***

 唯川さんは同書冒頭でこうも述べている。

「大人の恋には、大人の事情というものがあり、責任があり、それなりの心の準備や意識の持ち方、ルールも必要だ」

 そんな理性も吹っ飛ばすのがまた「恋愛」の厄介さなのだろうが――。

※引用部分はすべて『男と女―恋愛の落とし前―』より。(一部表現を改めています)

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