「ビッグモーター」聴聞欠席でも粛々と進む“救済劇”の全貌 伊藤忠「支援検討」本当の理由と、ビッグモーター社内で囁かれる「創業家排除はムリ」の声

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支援の成否は「兼重氏」次第

 一方のビッグモーター社内では「影響力排除」に懐疑的な見方が少なくないという。

「そもそも現在の管理職以上の人間は“兼重イズム”の薫陶を受け、それを疑いもせずに実践して出世してきた者ばかり。つまり“不正もいとわず、数字を追い求める”兼重体制下で頭角をあらわし、それを“ヨシ”としてきた面々です。そんな兼重氏のDNAを受け継いだ連中が一朝一夕に変わるはずもなく、本当に影響力排除を謳うなら社員の大半のクビを切るほかない」(同社関係者)

 ビッグモーターの全株式は兼重前社長ら創業家の資産管理会社「ビッグアセット」が保有しており、さらにいえば兼重氏の“500坪大豪邸”の所有者も同社である。

「伊藤忠側はビッグアセットから全株式の譲渡を受けて兼重氏の影響力を遮断するだけでなく、今後発生する損保各社への補償や顧客が起こした民事訴訟に対応する費用などもすべてビッグアセットに残し、自分たち主導で新しく設立する会社には重荷もしがらみもない状態でスタートを切らせたい意向です」(前出・経済部記者)

 しかし買収に向けた「最大の難関」と見られるのが、実はこの点だという。

「株の譲渡は認めるとしても、兼重氏の性格からして、負の遺産もすべて自分たち創業家が引き受けるとなれば、“なんで俺がそこまでしなきゃならないんだ”と反発するのは必至。実際、兼重氏は一連の不正行為について、いまだ“自分に責任がある”と認めていません。その往生際の悪さが、最終的に“今回の買収を失敗に導く――”との声が社内で広がり始めています」(同社関係者)

 破談になったとしても、自業自得か。

デイリー新潮編集部

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