めぼしい“戦力外選手”は参加しない現実…「合同トライアウト」は本当に必要か?

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重要性は今後も増していく

 社会人野球に目を転じると、一昨年、中日を戦力外となった武田健吾(三菱重工East)は、強豪チームの中で外野の一角に定着した。昨年の都市対抗野球では、ENEOSの補強選手に選ばれ、優勝に大きく貢献している。武田は、同年のメットライフドーム(現・ベルーナドーム)で開催された合同トライアウトに参加し、2安打を放っている。この活躍が、社会人野球入りに繋がったといえるだろう。

 また、2014年に中日に戦力通告を受けた中田亮二(JR東海)は、社会人に移籍して9年目となる今季もチームで中軸として活躍し続けている。2014年の合同トライアウトで、静岡草薙球場のライトスタンドにホームランを放った中田の姿を記憶しているファンは少なくない。

 もちろん、合同トライアウトは、戦力外になった選手が、自らのプロ野球人生に区切りをつける“儀式的な側面”はある。それとは別に、NPBのみならず、独立リーグの底上げや社会人野球の活性化のために、合同トライアウトの重要性は、今後も増していくはずだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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