コレクターの高齢化で「生前見積」が話題 生涯をかけて集めた「お宝」を“ゴミ捨て場送り”にさせないサービスの中身とは

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コレクターも“終活”を考える時代

 日本最大級のコレクターズショップ「まんだらけ」が数年前から始めている「生前見積」がコレクターの間で話題になっている。ヴィンテージコミック、漫画家のサイン色紙、アニメのセル画、ソフビやブリキなどのヴィンテージ玩具……といったコレクションの価値を、プロの目利きであるまんだらけが査定し、買い取りの金額(時価)を提示してくれるネット限定のサービスだ。

 査定を受けた時点で、即座にコレクションを売る必要はないという。将来的にコレクターが様々な事情でコレクションを手放す際に、まんだらけが親身に対応をしてくれるのだ。現在でも月に5~6件はコンスタントに問い合わせがあるという。生前見積はどのような流れで生まれたサービスなのだろうか。まんだらけの広報担当、中村勝也氏がこう話す。

「お客さんから、自分が亡くなった後のコレクションの行く末が心配だという声があり、コレクターの受け皿になるサービスを考えたのが始まりです。コレクターの死後、コレクションが廃棄されてしまったり、残されたものを前に遺族が途方に暮れたりすることは珍しくありません。そこで、コレクションの価値がわかるリストをつくっておけば、廃棄や散逸を防ぐことができるのではないかと考えたのです」

貴重なコレクションほど周囲に理解されない

 筆者もかつて、近所のゴミ捨て場で昭和30年代の漫画雑誌が山積みにされている光景を目にしたことがある。見るからに価値が高そうなもので、ゴミに出されていいものなのか、不安に思ったほどだ。もしかするとベテランのコレクターが集めた品が、死後に廃棄されたのかもしれない。生前見積の相談が相次ぐ背景には、コレクターの高齢化が進んでいることも影響しているのだろうか。

「うちのメインの購買層は20~40代が中心ですが、長年コレクションをしている人は年齢が上のお客さんも多い。近年は、やはり終活の一環としてコレクションの価値を知っておきたいといって、生前見積を依頼されるケースが増えています。コレクターにとってコレクションは自分の分身のようなものですから、心配になるのは当然ですし、できればいいコレクターに引き継ぎたいという思いを持つ人がたくさんいます」

 もちろん、まんだらけとしては、ゆくゆくはコレクションを買い取らせてもらえればありがたいという思いもあるのだろう。実際に、生前見積を行ったことを機に、「こんなに高いなら売ってしまおうか」と考え、売却に至る事例もあったそうだ。

 しかし、それ以上に、日本の文化財でもある漫画の単行本やアニメグッズを廃棄の危機から救いたいというまんだらけの思いが強く感じられた。日本のコレクターの中には博物館並みのコレクションを有している人も多い。とはいえ、“コレクターあるある”なのだが、壮大かつ貴重なコレクションほど家族に理解されないケースが多いのだ。

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