「娘は毎日“劇団に居たくない”と泣いていた」「1日20時間労働」 宝塚劇団員の親たちが明かす「凄絶ブラック労働」の実態

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 現役タカラジェンヌの自殺という未曾有の事件は、100年以上の歴史を誇る宝塚歌劇団の深奥に横たわる闇を暴くことになった。父兄らが重い口を開き告発するのは、令和の時代にそぐわない劇団の不当な労働契約と劣悪な労働環境だ。秘密の花園の酷薄な舞台裏とは――。

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 宙(そら)組娘役のAさんが9月30日に兵庫県宝塚市内の自宅マンションで亡くなってから、早くも1カ月が経過した。いじめを苦にした自殺ではないかとの疑惑は残ったままで、その余波は未だに収まらず、10月20日には宝塚歌劇団が宙組公演の全日程中止を通知。併せて11月10日からの雪組公演も、同月23日までの中止を決定したのである。

 劇団はホームページで、

〈調査チームからの報告を踏まえて、生徒が安心して宝塚大劇場の舞台に立ち、お客様にご観劇いただける環境が整うまでは、公演の再開は難しい状況と考えております〉

 そう発表したが、

「調査対象の宙組の生徒は66名もいる。大阪に最大規模の拠点を有する法律事務所の弁護士が劇団員に対する聞き取りを担当しているものの、結果公表のめどは立っていません。調査チームの主な関心事は二つ。Aさんに関する一連の“いじめ”報道および彼女を取り巻いていた労働環境の問題なのですが、聞き取り完了にはしばらく時間を要しそうです」(社会部デスク)

異例の人事

 特に事件の発生当初、世間的に注目を集めたのは週刊文春が今年2月に報じていた一件だ。記事ではAさんの額に、同じ宙組娘役のBさんがヘアアイロンを押し付けてやけどを負わせたというのである。

 本件について劇団は、

〈当時の弊団の調査では、Aさんの前髪づくりを先輩であるBさんが手伝った際、「誤って当たってしまった」と、両当事者からの証言を得ております。週刊文春の記事のように「押し付けた」「当て続けた」という事実はありません〉

 と説明。Bさんによる加害を否定しているのだが、宝塚に詳しい演劇評論家は以下のように解説する。

「Aさんが亡くなる約2週間前に、そのBさんに関して異例の人事が公表されています。12月25日付で月組に移籍するというものです。Bさんは星組からの移籍組。そのBさんが、再び組替えとなったことに関しては、ファンの間でも“いじめがバレて追放か!?”などさまざまな臆測を呼んだ。一方で宙組の現男役トップ・芹香斗亜(せりかとあ)との不仲説もささやかれており、Bさんが宙組になじめず、彼女を月組に脱出させたという見方もあります」

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