「虎ハンター」小林邦昭が破ったマスクは378万円 初代タイガーマスクとの伝説の攻防秘話 封筒にカミソリも

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破れたマスクが378万円

「一番、高価なプロレス・マスクは何だろう?」

 マニアックなファンも多いプロレスの世界。中でも高値で取り引きされるのがマスクだろう。ご存知、覆面レスラーにとっては、顔であり命でもあるアイテム。粗製乱造ものはともかく、いわば市販ものでも数万円は下らないだけに、実際に本人が着用した本物なら、価格は天井知らずになる。

 1969年、ミル・マスカラスが初めてNWA世界ヘビー級王座に挑戦した時の虎柄のマスクは最低でも300万円は下らないとされるし(データは週刊ゴング増刊号「ゴング・マスク・コレクション」より)、お宝査定番組としてお馴染みのテレビ東京「開運!なんでも鑑定団」では2017年11月、初代タイガーマスクが全盛期に使用したマスクが登場。「1000万円」と評価されていた。番組内でも触れられていたように、少なくとも日本発 で現存する物なら、これが最高額となろう。もっとも、これらは、その希少価値から、今後、更に値段が上がって行くことも考えられる。

 ところで、コレクションと言えば、完品、かつ美品が喜ばれるのが世の常。キズモノなどがご法度なことは、読者も周知のことだろう。

 ところが、かつて破れているマスクに、378万円という高額がついたことがあった。しかも、この値段で2017年に専門店にて売りに出され、2時間経たずに売約済みとなった。

 それは、小林邦昭が破った、初代タイガーのマスクだった。

 1981年4月、アントニオ猪木率いる新日本プロレスでデビューした初代タイガーマスクは、ダイナマイト・キッド、初代ブラック・タイガーらの好敵手を相手に躍動。シングルでの黒星は反則負けの1回のみ(vsダイナマイト・キッド)。毎週金曜日、午後8時のゴールデンタイムに放映されるテレビ朝日「ワールドプロレスリング」での華麗なファイトもあいまり、大人気となった。

 こんな逸話がある。タイガー人気が絶頂だった1982年10月、東京駅から、巡業に行く新日本プロレス一行と、修学旅行に行く小学生の一団が新幹線で同乗することに。すると、駅のホームで子どもたちは、猪木そっちのけで、ウロウロとし始めた。あげく、言うには、「タイガーは、どこなの?」目の前にマスクをしていない佐山聡がいたのだが、わかるはずもなかった。当時のタイガーが、いかに少年少女ファンに愛されていたかがよくわかるエピソードだろう。しかし、そのマスクマンとしての命が、脅かされる時がきた。

 同月、小林邦昭が、メキシコより凱旋帰国。タイガーにマスク剥ぎを敢行したのだ。

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