ウクライナのプラモデルメーカー「ICM」が伝える戦時下のリアル 日本代理店に送ったメッセージとは

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「ウクライナ特殊作戦部隊」「ウクライナ工兵&地雷探知犬」「戦場ジャーナリスト」「MiG-29 ウクライナ空軍 “キーウの幽霊”」──これらがプラモデルのラインナップだと知れば驚く人も多いだろう。ウクライナはロシアとの戦争の真っ最中だが、首都キーウに本社を置く「ICM」は商品のリリースを続けており、日本ではプラモデルメーカー「ハセガワ」を通じて販売されている。

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 日本のプラモデルファンもICMの動向には注目しており、X(旧Twitter)を閲覧すると多数の投稿が行われていることが分かる。

 戦火の下、ウクライナのプラモデルメーカーが製造と販売を続けているだけでも驚異的だが、日本との縁はどのようにして生まれたのかなど興味は尽きない。ハセガワに取材を依頼すると、営業部が対応してくれた。

「毎年2月、ドイツで『ニュルンベルク国際玩具見本市』が開かれます。1950年から続く由緒あるホビーショーなので、弊社もプラモデルなどを出品しています。その際、他社さんの商品も見学するのですが、ICMさんの商品には以前から注目していました。日本のメーカーでは作らないようなマニアックなラインナップが印象的だったのです」

 ICMの公式サイトで商品一覧を閲覧すると、その多彩なラインナップに驚かされる。例えば「アメリカ南北戦争 南軍歩兵用アクリルセット」や「T型フォード 1914 消防車」という具合だ。

「確かに多彩ですが、それでも主軸とでも言うべき特徴的なラインナップが2つあります。1つはドイツ軍の戦車や軍用機で、こちらは第二次世界大戦中の兵器です。もう1つはロシア軍の戦車や軍用機などで、こちらは第二次世界大戦中だけでなく、戦後に登場した兵器も揃っています。もともともとウクライナは、東欧の模型大国としての歴史を有しています。東西冷戦期、ウクライナの各メーカーは旧ソ連のメーカーと互角の人気を誇り、その商品は東欧中で販売されていたのです」(同・営業部)

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