「ラグビーW杯」最終決戦迫る! “南米のフィジカルモンスター”アルゼンチン攻略法とカギを握る2人のキーパーソン

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 ラグビー日本代表が決勝トーナメント進出をかけて激突するアルゼンチン戦が8日に迫っている。この20年余りで急速に力を付けた“新興強豪国”アルゼンチンとは一体どんなチームなのか。そして専門家が指摘する、試合のポイントと勝敗を左右するキーパーソンとは――。

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 チリに59-5と圧勝し、現在、勝ち点9で日本と並ぶアルゼンチン。8日の直接対決で日本が勝てば、文句なく8強入りを決めるが、引き分けた場合、得失点差で日本を上回るアルゼンチンが決勝トーナメントへ進出する可能性が高くなる(引き分けでも、日本が4トライ以上で得られるボーナスポイントを得て、アルゼンチンが1トライにとどまるなどのケースによっては、日本の決勝T進出もあり得る)。

 すでに1位通過を決めたイングランドに続く、プールDの「残り1枠」をかけた“大一番”を目前に控え、ラグビーファンならずとも期待に胸が高まる。最終戦で日本と戦うアルゼンチンはラグビーW杯10連続10度目出場を誇り、2007年大会に3位、15年大会では4位の成績をおさめた「南米の雄」だ。世界ランク13位の日本に対し、同9位と「格上」に当たり、激闘は必至と見られている。

 元「ラグビーマガジン」編集長で、ラグビージャーナリストの村上晃一氏がアルゼンチンチームについてこう話す。

「代表選手の多くがイングランドやフランスなどヨーロッパのプロリーグでプレーし、屈強なFW陣を擁するフィジカルの強さが特徴です。一方でスピードも兼ね備え、クレバーで隙のないチームでもある。初戦でイングランドに敗れましたが、地力では日本を上回るとみて間違いありません。ニュージーランドや南アフリカ、オーストラリアに続き、南米で唯一、南半球4カ国選手権(ザ・ラグビーチャンピオンシップ)に参戦する実力は侮れません」

 実は1990年代まで、アルゼンチン代表は日本とそれほど大きな違いはないレベルにあったとされるが、2000年代に入って以降、急速に力を付けた経緯がある。

注意すべき「NO8」と「ロングキッカー」

「ヨーロッパのリーグでプレーする選手が増えたことで、代表チームのレベルが底上げされました。富裕層を中心としながらも、南米のなかでラグビー文化が根付いている国でもある。この20年間は『世界の強豪国』の一つとして、とくに南米においては“アルゼンチン一強”の時代を築き上げました」(村上氏)

 なかでも村上氏が注目するのが、日本リーグの「三重ホンダヒート」に所属するパブロ・マテーラ選手という。19年W杯でアルゼンチン代表キャプテンを務めたマテーラはパワーと運動量を併せ持つ「世界的なFL(フランカー)、NO8」で、日本チームにとって脅威となることは確か。

「もう一人がウィング(WTB)のエミリアーノ・ボッフェリです。50メートルを超えるハーフウェイラインのどこからでもペナルティゴールを決められる正確無比のロングキッカーで、空中戦に強くて走力もある。彼を抑えることが日本にとって、アルゼンチン攻略のカギの一つになります」(村上氏)

 そんなアルゼンチンを相手に、日本はどう戦うか。試合のポイントについて、村上氏はこう指摘する。

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