ジャニーズ事務所が社名変更しなかった特別な事情 会員1300万人、会費総額520億円の“ファンクラブ問題”があった

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 東山紀之(56)新代表取締役社長は7日の会見で、ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏(2019年に87歳で死去)による性加害行為を「鬼畜の所業」と断罪した。それなのに、ジャニー氏の名前を冠した社名はどうして変わらなかったのか? 社名を残したことなどが理由となり、CMが次々と打ち切られている。同事務所はどこへ向かおうとしているのか。

なぜ、社名はそのままなのか

 長期間にわたり大勢の少年たちに性加害を行っていたジャニー氏の名前が社名に残ったことに対し、国内外で批判や驚き、失望の声が収まらない。社長を退任した藤島ジュリー景子氏(57)も会見で「同族経営の弊害は認識している」としながら、代表権のある取締役として社内に残った。

 その背景には、副社長だった滝沢秀明氏(41)が昨年10月に同事務所を去り、タレントの退所者も相次ぎ、今年3月にはジャニー氏の性加害問題が再び明るみに出たものの、売り上げが落ちていないことがある。また、「骨の髄まで同族企業」ということも挙げられる。

 売上減が防げたのはファンクラブのお陰にほかならない。全体の名称は「ジャニーズファミリークラブ」で、その中に「嵐」や「Snow Man」、木村拓哉(50)ら個別のファンクラブがある。

 年会費は4000円で、全体の会員数は実に約1300万人だから、会費の総額は1年で約520億円に上る。日本一のファンクラブ組織と言っていい。その上、会員たちの多くはCDを何枚も買い、同事務所のタレントが出演しているドラマはほぼ全て観てくれる。巨大な支援組織と言い換えてもいいだろう。

 社名を変更すると、ファンクラブ全体の名称も変えなくてはならない。だが、会員の多くは社名変更を望んでいないという。

ジュリー氏の本音が表れていた言葉とは

「会員歴の長い人はジャニーズ事務所という名前に愛着がある。また、自分たちには非がないのにファンクラブ名が変わるのはおかしいという思いもあるでしょう」(現在も同事務所の内情に通じる元事務所スタッフ)

 社名変更をしないことを最終的に決めたのは、ジュリー氏だとされている。ファンクラブとファンの意向や思いを重視したようだ。それは会見の言葉にも表れていた。

「本当にいろいろなことが起きている中でも、全く変わらず、私共のタレントを応援してくださっているファンの皆様には本当に感謝の気持ちしかございません」(ジュリー氏)

 この会見は社長交代の発表であると同時に性加害の被害者への謝罪の場でもあったから、ファンへの言葉には違和感を覚えた人もいるはず。ファンへの言葉は別の場で発信すべきだったのではないか。さらに、ジュリー氏の本音が表れていたのは次の言葉だろう。

「みんなが(性加害によって)今、スターになっているわけではなく、一人ずつのタレントが本当に努力して、そして、それぞれの地位を勝ち取っているので、そこだけは本当に失望もしていただきたくないですし、誤解もしていただきたくないですし、安心してこれからも応援してやっていただきたいと心から思います」(ジュリー氏)

 これが社名変更をしない理由の核心に違いない。東山はジャニー氏の行為を「鬼畜の所業」と斬り捨てたが、ジュリー氏は性加害を同事務所内の出来事の1つ程度としか捉えていないようだ。だから社名も変えない。

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