「最高の教師」の次は日曜劇場「下剋上球児」…少子化のはずなのになぜ“教育ドラマ”が続くのか

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 日本テレビ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(土曜午後10時)が話題だ。秋ドラマには鈴木亮平(40)が主演するTBS「日曜劇場 下剋上球児」(日曜午後9時)がある。前者が高校を舞台にしたシリアスな教育ドラマなのはご存じの通り。後者は高校野球を軸に教育問題などを描く。かつてはTBS「3年B組金八先生」(1979年~)シリーズが人気を博したが、少子化の今、なぜ教育ドラマが続くのか。

悪評を聞かないドラマ

「最高の教師」が話題になっている。このドラマは批判をあまり聞かないのも特徴だ。

 これは日テレにとって大きい。テレビマンなら誰もが知ることだが、ドラマは利益が少ない。スポンサー料の大半が制作費で消えるからだ。それでもつくるのは、自局の有料配信動画サービスのコンテンツになり、同時に局のイメージや勢いを表せるため。ほとんど儲からない上、悪口を言われたら、目も当てられないのだ。

「最高の教師」の評判が良い最大の理由は、いじめやネグレクト(育児放棄)、不良生徒たちによる学級支配など現実的でシリアスな問題から逃げず、真正面から取り組んでいるからに違いない。息抜きのような場面はほとんどなく、主人公の3年D組担任・九条里奈(松岡茉優・28)と生徒たちの描写に放送時間の大部分を費やしている。

 だから、教頭・我修院学役の荒川良々(49)や3年A組担任で公民教師・花村千代子役の長井短(29)といった個性派俳優を起用しながら、教育ドラマに付き物である職員室のシーンが極端に少ない。笑いを取ろうとするシーンはないに等しい。

 画期的だったのは九条をタイムリーパーにしたこと。これがなかったら、既視感のある物語になっていただろう。「3年B組金八先生」など過去の教育ドラマは問題の解決策しか表せなかったが、九条には1周目の人生の記憶があるため、問題の予防策や対抗策を盛り込めた。これが物語を分厚くした。

 例えば12日放送の5話では、文化祭の中止を阻止できた。九条は生徒たちに主体性と一体感を持たせることによって、妨害をはねのけさせた。生徒の1人・瑞奈ニカ(水曜日のカンパネラの詩羽・22)が椎名林檎(44)の「17」をカバーするシーンも実現した。

 5話は3年D組の生徒たちと同世代の視聴者に刺さり、T層(13~19歳)の個人視聴率が4話(5日放送)の1.8%から4.3%に急伸した。このT層の数値は12日放送の全番組の中でトップだった。

 10代にとっては「17」が感動的だったのだろうが、アーティストであるために周囲から異端扱いされる瑞奈の「何が普通で、何が普通じゃないの」という言葉も共感を呼んだのではないか。自分が異端扱いされることによる悩みは、いつの時代も10代が抱えやすい。

 3年D組と同世代の高い支持を見ると、この教育ドラマは既に一定の成果を残せたと言っていい。いくら視聴率を獲ろうが、登場人物たちと同じ世代に背を向けられては意味がない。「3年B組金八先生」(1979年~)が成功し、いまだ語り継がれるのも、当時の中学生や高校生が支持したからである。

「下剋上野球」は注目作

 秋ドラマにも教育モノ「下剋上球児」(TBS)がある。高校野球を縦軸にして現代社会の教育現場や地域、家族が抱える問題や愛が描かれる。

 主人公は南雲脩司(鈴木亮平)。大学まで野球一筋でやってきたものの、ケガで引退。大学も中退し、スポーツトレーナーとして働いていた。だが、教師になる夢を捨てきれず、32歳で大学に再入学。36歳で教師になった。

 南雲は三重県立越山高に赴任して3年目に野球部顧問を任される。弱小チームだ。しかし、甲子園出場を目指し始め、のし上がっている。弱小チームの下剋上だった。

 放送開始まで時間があることもあって、現時点では前評判が高くないものの、秋ドラマのナンバーワン候補と見る。新井順子プロデューサーと塚原あゆ子監督による作品だからである。

 2人は「Nのために」(2014年)、「最愛」(2021年)、「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」(2022年)などのヒット作をTBSで生み続けてきた。それらのドラマは話題になっただけではなく、日本民間放送連盟賞やギャラクシー賞など数々のドラマ賞に輝いている。

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