Netflix並みの製作費は伊達じゃなかった…「VIVANT」が“テレビ離れが進む若者”に人気の秘密

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 TBS「日曜劇場 VIVANT」(日曜午後9時)が夏ドラマの話題を独占しそうな勢いだ。視聴率は今年放送された全ドラマの中でトップ。テレビ離れが著しい若者の視聴率が高いのが特徴として挙げられる。どうして若者も釘付けなのか。キーワードは「国際標準」である(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)。

テレビ離れの若者も観ている

 配信動画のNetflix並みに制作費を使っているのが「VIVANT」の特徴の1つ。1話当たり約1億円。プライム帯(午後7~同11時)の1時間ドラマの相場は同約3000万円だから、3倍以上も費やしている。それが生かされている。

 例えば6話。主人公で自衛隊の秘密諜報組織・別班の一員である乃木憂助(堺雅人・49)がバルカ共和国から帰国し、空港で大型モニターに目を向けた。この場面にも金が掛かっている。モニターにはテントの仕業と見られるテロのニュースが映っていた。

 フロアのデザインが一致しているため、モンゴルのチンギスハーン国際空港 で撮影されたと思われる。ほかの乗客も憂助の目線に合わせて架空のニュースを観ていたから、エキストラだったのだろう。大勢のスタッフがいて機材もあるから、空港の通常業務中の撮影は不可能。施設を借り、エキストラを集めるほかない。

 金が掛けられているのは、カーチェイスがあってモンゴル軍の戦車まで登場したバルカ編ばかりではない。だから映像にリアリティが生まれている。

 視聴率は夏ドラマで断トツ。今年になって放送された全ドラマの中でもトップ。春ドラマでは首位だったTBS「ラストマン-全盲の捜査官-」と数字の面で比較してみたい。テレビ離れが指摘される若者も観ていることが浮き彫りになる。

 6話までの個人全体視聴率の平均値は「VIVANT」が8.3%。関東地区の総視聴者人数は約4200万人、その1%は約42万人だから、1話当たり約349万人が観ている。一方、「ラストマン」の6話までの平均値は7.8%なので、観ていたのは約328万人である。

 若者の視聴率を見てみたい。「VIVANT」のT層(13~19歳までの個人視聴率)の平均値は4.4%で、F1層(女性の20~34歳の同)は4.7%。片や「ラストマン」の平均値はT層が2.7%で、F1層が3.6%である。かなり開きがある。主人公のFBI捜査官・皆実広見(福山雅治・54)が全盲であることを除くと、比較的オーソドックスな刑事ドラマだったからだろう。

 ちなみに若者の間で評判が高いTBS「トリリオンゲーム」(金曜午後10時)の18日放送のT層は1.4%でF1層が2.9%。やはり若者ウケがいい日本テレビ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(土曜午後10時)の19日放送のT層は1.7%でF1層が2.7%。「VIVANT」の数字が突出していることが分かる。

 3年半前からテレビ局もスポンサーも使っていない世帯視聴率の平均値も参考までに記すと、「VIVANT」が13.1%、「ラストマン」が13.0%である。

 2021年の総務省調べによると、10代が平日1日にテレビを観る時間は平均で約57分しかない。20代も約1時間11分と短い。50代の約3時間7分、60代の4時間14分とは比較にならない。それなのに若者も「VIVANT」を観ているのは、どうしてだろう。

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