仙台育英、夏の甲子園連覇へ発進! “青春は密”「須江航監督」、驚かされた浦和学院戦への「綿密な準備」

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ヒット数が両チーム合わせて37本の“乱打戦”

 8月6日、夏の甲子園が開幕した。大会初日にいきなり注目のカードが実現した。昨年の優勝校である仙台育英(宮城)と、春夏通算26度出場の浦和学院(埼玉)が、いきなり激突した。夏の甲子園の対戦成績は1勝1敗と五分。特に、2013年は「11対10」という壮絶な打撃戦で、仙台育英が、同年の春夏連覇を狙った浦和学院に対して逆転で勝利している。この時の記憶もあり、激戦を予感した高校野球ファンが多かったはずだが、今年の対戦も彼らの期待を裏切らない熱い試合展開となった。【西尾典文/野球ライター】

 1回にいきなり仙台育英が4点を先制。3回には5点を追加して、9対0となり、勝負あったかと思われたが、4回に浦和学院が4点を返すと、そこからは両チーム激しい打ち合いとなり、最終的に、仙台育英が反撃する浦和学院を突き放して、19対9で激戦を制した。ヒット数は仙台育英が19本、浦和学院が18本と両チーム合わせて37本という“乱打戦”だった。

 仙台育英は10点差で勝ったとはいえ、最速150キロを超えるプロ注目の右腕、湯田統真と高橋煌稀(いずれも3年)が、それぞれ4イニングを投げて、いずれも8安打ずつを浴びており、決して楽な戦いではなかった(湯田は4失点、高橋は5失点)。

「こんな展開になるとは0.000001%くらいしか考えていなかった(※NHKの会見では0.0001%と語っていたが、その後の囲み取材では、0.000001%と強調していた)。3対1くらいの勝負になると思っていた。湯田も高橋もここまで打たれたのは、3年間で初めて」(仙台育英・須江航監督、試合後の囲み取材でのコメント)

仙台育英打線の破壊力

 湯田と高橋は、決して出来が悪かったわけではない。この試合で、湯田の最速は150キロ、高橋は146キロを記録している。これは、大会初日に登板した投手のなかで、1位と2位のスピードだ。

 特に湯田は、初回に3個の空振り三振を奪い、立ち上がりは上々の出来だった。それでも、両投手がここまで失点を積み重ねたのは、浦和学院打線もその一因にあるが、筆者には、湯田と高橋が甲子園独特の雰囲気にのみ込まれたように見えた。

 その一方で、調子が出ない投手陣をカバーしたのが、仙台育英打線の破壊力だ。

 先発出場した9人全員がヒットを放ち、合計19安打を記録。3回には、7番の尾形樹人(3年)と8番の湯田に2者連続ホームランが飛び出すなど、長打は6本を数えた。

 仙台育英は、昨秋の大会、今春の選抜で打線がなかなか振るわず、得点力が大きな課題となっていたが、今大会では、各打者のスイングが確実に力強くなっている。その象徴が、5番を任された斎藤敏哉(3年)だ。

 斎藤は、今春の選抜まで下位を打つことが多く、目立った活躍を見せていなかった。しかし、選抜後に大きく成長して、宮城大会の準々決勝、東北戦では、ライトスタンドに叩き込む満塁ホームランを放ち、勝利に貢献している。

 浦和学院戦では、浦和学院のエース、鈴木夕稀(3年)の立ち上がりを攻めて、貴重な先制タイムリーを放っている。フルスイングの迫力は、目を見張るものがある。激しいチーム内の競争によって、レギュラーも安泰ではない。それに伴って、チーム全体の打撃力が向上しているようだ。

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