韓国のスラムダンク熱は今も 主題歌を歌う「10-FEET」公演に見る反日不買の終わり

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 韓国の梅雨がピークに達した7月15日。金浦空港に近い「KBSアリーナ」(ソウル市江西区)で日本のロックバンド、10-FEETのライブが開かれた。

 1月に公開された映画「THE FIRST SLAM DUNK」は、韓国で469万人という観客を集めた。その凄まじい人気を追い風に、映画の主題歌「第ゼロ感」も韓国内でヒット。それを歌う日本のロックバンド、10-FEETの韓国ツアーが実現した。

 筆者も1カ月前のチケット発売開始と同時にスタンディング席をゲットした。しかし一抹の不安もあった。

 10-FEETの韓国公演が実現……というニュースに接したとき、

「果たしてどれだけ観客が集まるだろうか」

 と半信半疑だったのだ。いくら「スラムダンク」で突然の人気を得たとしても、10-FEETのアルバムは韓国内で発売されたことでもなく、メディア内での知名度も高くはなかったからだ。加えてライブは梅雨の時期に重なった。

 前日の7月14日、激しい豪雨が韓国を襲い、随所で被害が相次いだ。日本でも報じられた。ライブ観覧のキャンセルも相当起きるだろうと予想されていた。

 しかし、それは杞憂だった。ライブの当日、公演開始1時間前から「KBSアリーナ」の周辺はすごい人混みだった。朝から午後4時まで雨が降りつづいたが、幸いにも5時頃から雨が止み、ファンの入場のトラブルもなかった。

グッズも「あなたが最後でもう品切れ」

 ライブを観に来た韓国ファンの年齢も性別もさまざまだった。「スラムダンク」の湘北や山王のユニフォームを着た観客も数人いた。予想よりもかなり多くの観客の数に、筆者も驚いてしまった。

 公演が始まり、10-FEETのステージに韓国のファンも応えた。一緒に歌い、歓声が客席を包む。やはり盛りあがったのは映画の主題歌「第ゼロ感」だった。観客も総立ちで会場を沸かせた。10-FEETもライブの合間に韓国語で挨拶や自己紹介でファンと共感し、韓国の伝統民謡「アリラン」のロックバージョンも披露した。

 ライブが終わった後の光景にも目を疑った。会場の隣の建物内に10-FEETのグッズを販売するコーナーが用意されていた。公演開始前は閑散としていたが、ライブが終わってそこに足を向けると、最後尾がどこなのか見えないほど長蛇の列ができていた。

 筆者も列につき、長い待ち時間を末に、幸運にも10-FEETのレッド色のタオルをゲット。販売スタッフから、「あなたが最後でもう品切れ」といわれた。それにもかかわらず、まだ後ろには大勢の人が購入を待っていた。

 タオルを手に帰路を歩きながら、「やっと戻ってきた」と呟いていた。文在寅(ムン・ジェイン)政権になる2017年以前、興奮を抱えながらライブやコンサートから帰ったことが何回かあった。あの時代が一気に蘇ってきた。同時に、韓国内の「NOJAPAN」の時代は完全に終わったと確信した。

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