コンビニ化する「郵便局」が精米所、古着回収、婚活まで…… 続々登場“新サービス”の裏にある「郵便局多すぎる」問題

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 いまや郵便局では切手や金融商品ばかりでなく、米や醤油、野菜、お菓子なども手に入れることができるという。それどころか「会社の後継者探し」や「終活相談」、果ては「婚活」参入プランまで――。進化を遂げる郵便局の“サービス最前線”を追った。

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 全国に郵便局は約2万4000局あるが、うち約3000局では「無人販売」が行われているという。

 その一つである入下郵便局(宮崎県美郷町)の局長がこう話す。

「約3年前に局内でパンの販売を始めたのを皮切りに、その後、地域社会からの要請もあって品数は増加。現在では野菜やお菓子、調味料、洗剤など約25品目を取り扱っています。ただし私たちが直接販売しているわけではなく、地元商店や農家の皆さんに月1100~4400円の賃料でスペースを貸し出し、物品を陳列・販売してもらっています」

 賃料収入は微々たるものだが「無人販売」に乗り出して以降、1日平均5~6人だった来局者は10~15人程度にまで増えたという。それにより地元住民と触れ合い、彼らの要望や困り事を直接聞く機会も増加。個別のニーズに応じた郵貯や簡保商品の提供へと繋がったケースもあるという。

 一方、東京や神奈川の郵便局では、ネット通販で販売されている生活用品や家電を局内の空きスペースに展示する「JPショールーム」という取り組みが行われている。「郵便局でお掃除ロボットが買える」などと話題を集めた。

「跡継ぎ探します」

 他にも、富山県の水橋郵便局(富山市)の敷地内には精米所が設置され、精米したコメをそのまま郵便局から「ゆうパック」で郵送できるサービスも。また東京や千葉の一部の郵便局では「古着回収ボックス」が局内に設置されるなど、郵便局を活用した新しいサービスは近年、急速に広がりを見せている。

 関西地方の特定郵便局長の話。

「関西の郵便局のなかには事業の“後継者探し”を手伝うサービスを始めているところもある。地方の個人事業主にとって“跡継ぎ”を確保するのは至難の業であり、切実な問題。相談内容に応じて専門業者に繋ぐといった形を取り、要は廃業を回避するためのコンサルタント仲介サービスのようなもの。同じく専門業者へ橋渡しする事業として、お墓や葬儀場選び、遺品整理を手助けする終活紹介サービスも郵便局でやっている」

 兵庫県のある特定局では「喫茶店」運営に乗り出したものの、撤退に追い込まれる“失敗事例”もあったという。

「局内にコーヒーなどを座って飲める喫茶スペースを設けたが、コーヒーを淹れたり、給仕したりするのも局員だったため、忙しくなると通常業務に支障が出たことで早々にサービス中止に至ったと聞いている」(同)

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