ただの“タレント美容本”ではない…MEGUMI「キレイはこれでつくれます」は何がスゴイのか

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 女性タレントが書いた美容本の「これでキレイはつくれます」の「これ」は、たいてい著者がプロデュースしたコスメだったり、一般には入手困難なアイテムだったり、海外でしか受けられないようなすごい施術だったりする。女性タレントが美容本を出版する目的は、「本当にやってる美容法」を教えることなどではなく、自分のイメージアップのための宣伝でしかない。読者の方も、タレント美容本なんざ、話半分で拝読するのが習わしだった。

 前置きが長くなったが。MEGUMIの「キレイはこれでつくれます」(ダイヤモンド社)は、そういった類の「言うだけ美容本」とは一線を画し、発売一カ月で10万部超えという、驚異の支持を得ている「シン・美容本」である。

 グラビアアイドルとしてデビューした著者。20代は常に南の国で水着撮影。そのせいで30代に入ると肌は荒れ放題。テレビに出るたび容姿のことを悪く言われて深く傷つく。そこから一念発起し、美容に本気で取り組むことを決心。いいと思ったことは全てやり尽くし、本当に肌への効き目を実感できたメソッド・商品・施術だけを、あますことなく記している。

五体投地の道程がここに

 著者が標榜するのは、習慣化の大切さ。第一章の冒頭で紹介される「毎日のシートマスク」はその原点だ。潤いで肌質が変わること を一番初めに実感できた習慣で、今も朝晩必ず行っている。愛用品「ルルルン」は、ドラッグストアで簡単に手に入り、罪悪感なしに使える安いマスク。「どうせなら高価なものを」という気負いが時に継続の落とし穴になる、と説く著者。やれば必ず変わるけど、続けなければ結果は出ない。この基本方針のもと「美容スチーマーは安価なもので十分」「美容アイテムはいつでも使えるよう生活の『動線上』に置く」等々、自らが辿り着いた「美の結論」を、理由と共にわかりやすく提示。スキンケアだけでなく、メイクのポイント、マッサージ法、ヘアケア、食事や睡眠について、香りの取り入れ方、心身それぞれの不調時のアプローチ法、参考にしている美容法のYouTubeなど、ありとあらゆる角度に美のアンテナを張り巡らせ、引っかかったものは体で試し、効果があったコトモノは全てを出し惜しみなく開陳している。

 アイテム紹介は手が届きやすい価格帯のものが中心で、メーカー名や値段なども併記され、買いやすい工夫が。更には、試して良かった「美容医療」まで記載。「そういうの何もやってません」が定石である女優の常識を覆し、詳しい施術内容や一般的な価格、痛みの強弱まで詳密に解説。

 最近では女優業も板につき、何となく格まで漂って来ている著者。気の遠くなる努力を重ねて得たであろう「結論」を、「すごく良かったからやってみて!」と親しみやすい口調でやすやす伝授してくれる。

 これが美への志を同じくする求道者たちの心に響きまくりで、7月18日現在売り上げ31万部超え! 同志の数だけ、これからも版を重ねていくに違いない。

今井舞(いまい・まい)
東京生まれ。小学校から大学まで、バカばっかりのエスカレーター式女子校にて、観察眼を鍛えながら過ごす。大学在学中にライター業を開始。美容を中心に、ファッション、インタビューなど、何でも屋として活動中に、タレント格付け本『女性タレントミシュラン』(情報センター出版局)を出版。裏バイトで始めたつもりのテレビ批評がいつの間にか生業となり、現在に至る。

デイリー新潮編集部

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