NHKドラマで「波瑠」の相手役だった俳優が“涙で謝罪” 政界から芸能界まで“性加害”告発が続く台湾版「#MeToo」の最新事情

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当時16歳のインフルエンサーが告発

 台湾新幹線プロジェクトをテーマに、日台の人々の交流を描いた日台合作のNHKドラマ「路~台湾エクスプレス~」。2020年5月の放送時は、主演の波瑠はもちろん、相手役を務めた台湾俳優・歌手のアーロン(炎亞綸)も大きな話題を呼んだ。

 アーロンが演じた建築士のエリックは、波瑠が演じた多田春香の「運命の人」。180センチ近い長身と端正な顔立ちは、まさに王子様だった。アイドルグループ「飛輪海」(ファーレンハイト)時代からそのルックスは評判で、37歳の現在も熱心なファンが多い。だが、そんなアーロンが現在、芸能生命の危機に見舞われている。

 発端は6月20日、有名インフルエンサー・耀楽(ヤオ・ルゥ)のInstagram投稿だった。彼は16歳の高校生だった2018年に投稿動画でブレイク。数カ月で約30万のフォロワーを獲得し、テレビにも進出した。だが、同年9月に「元カレが性行為の動画を流出させる」という性被害に遭っている。

 22歳の現在もインフルエンサーとして活動中だが、今回のInstagram投稿はこれまでの明るい内容とは違った。アーロンの過去投稿のスクリーンショットとともに「動画を流出させた元カレ」はアーロンだったと明かしたのだ。さらに、動画は同意の上ではない性行為を無断で撮影したもので、流出後はアーロンから口を閉じておくよう脅されたという。

会見場に姿を見せての直接謝罪

 これを受けてアーロンは同日深夜、Facebookに謝罪文を投稿。ヤオ・ルゥとの交際を認める一方、かつての自分は「歪んで」おり、カウンセリングなどにも通った経験などを明かした。過去の過ちに立ち向かうことでその歪みをただす覚悟があるとしたが、同意のない性行為については否定。また動画の流出は故意ではなく、スマートフォンを修理に出したことが関係している可能性に触れた。

 そして翌日には、ヤオ・ルゥの記者会見に事前告知なく姿を見せ、涙ながらに謝罪。家宅捜索を受けた後の7月3日には、台湾士林地方検察署から「児童・少年性的搾取防止条例違反」での取り調べを受けた。同日夜に保釈金50万台湾ドルで保釈された際は引き続き捜査への全面協力を明言したが、告発の一部については「自身の潔白を守るように努める」と述べた。

 一方で、ヤオ・ルゥに関する複数の“告発”も飛び出している。その1つは、ある男性から金銭を受け取って6回のホテルデートを約束したが、応じたのは最初の一度だけだったという“詐欺”。そのため「アーロンに関する告発内容は信用できるのか」という声もあるが、いずれにせよ現在は捜査の結果を待っている段階だ。

 この一件は、現在の台湾で大きな盛り上がりをみせている台湾版「#MeToo」の1つである。本来は「芸能人のスキャンダル」に属する内容だが、数々の告発のなかでもひときわ議論が多い理由は台湾、あるいは世界の社会情勢を反映する複数のポイントが存在するからだ。

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