「私も証人をやらないと…」 山上徹也の母が告白した息子への思い

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「そういうことは代理人のかたに」

――本人は喜んでいるのでしょうか。

「いや、わかりませんよ」

――現在、接見禁止は解除されていますが、連絡手段はお手紙で?

「……そうですね」

 約5カ月半の鑑定留置を経て奈良地検が殺人と銃刀法違反の罪で起訴したのは今年1月。今や接見も可能だというのに、会えない事情でもあるのだろうか。

――会いには行かれない?

「……」

 実は今年4月、母親は接見のため大阪拘置所を訪れている。しかし、山上から面会を断られていたという事実が報じられた。教団が依然正しいと考える母親を遠ざけたと見られる。

――事件への思いは? どう受け止めておられますか。

「ごめんなさいね」

 母親はまず謝って、

「そういうことは代理人のかたにね……」

 代理人。それは他ならぬ、統一教会の幹部である。依然として教団の影響下にある彼女は、内容次第では今も返答を拒む。

「私も証人をやらないといけない」

――ご遺族である安倍昭恵夫人に伝えたいことは?

「それも……代理人さんに聞いてください」

 一方、息子への思いは時に言葉の端ににじむ。

――1年もの間、会えないと心配では?

「……前からね」

 長らく息子を案じていたことは否定しなかった。

――では、公判が始まれば、見に行かれますか?

「なんか被害者の席はあるそうだけど、加害者のほうは普通の人と一緒で、抽選じゃないといけないらしいの」

 残念そうな口ぶりだ。

「被害者のかたは優先的に座れるんだけど、加害者の家族はダメなんだって。でも仕方ないんでしょうね」

 そして、何かを明かすような声音でこんな話をした。

「私も……証人をやらないといけないんですよね」

 来年にも始まる山上被告の裁判員裁判。母親の出廷は何より大きな注目を集めようが、その時の山上被告は一体、どんな表情を見せるだろう。

 ジャーナリストの鈴木エイト氏が明かした、山上被告の知られざる肉声については前編を読む。

週刊新潮 2023年7月13日号掲載

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