鈴木エイトだけが知る山上徹也の知られざる肉声 事件に関する本について「自分の一部だけが抜きとられている」
解散命令は請求されるのか
例えば、萩生田光一・政調会長は、事件後、最も統一教会とのつながりが報じられた議員の一人だ。
萩生田氏がこれまで地元の東京・八王子にある教会の施設を何度も訪れ、バーベキューに興じたこともあるという証言や、昨夏の参院選の際、生稲晃子氏を関連施設に連れて行った件については本誌(「週刊新潮」)も報じたが、
「萩生田議員は最近では、バーベキューに同席していたのは自分ではなく別の政治家だとか、生稲さんを連れて行った集会が、統一教会系のものだとは知らなかったとか、信者がたくさんいたのは統一教会と関係の深い別の候補者がその後、あいさつする予定だったからだなどと公言しています。言い逃れも甚だしいですし、証言した元信者からも怒りの声が上がっています」
宗教法人法では、法令違反の団体への解散命令を、所轄庁が裁判所に対して請求できる。事件を受け、文化庁は統一教会に6回質問権を行使。今後、請求が出されるかが焦点になるが、
「私の見立てでは行うと思います。しかしそこで障害になりそうなのは、関係が指摘される議員の抵抗。実際、萩生田さんは昨年、解散命令について“難しいのではないか”と述べている。この点については十分注視する必要がありますね」
統一教会に、伝道実績や寄付について事実関係を質すと、「回答は控えさせていただきます」、あるいは「事実無根です」との答え。
萩生田氏も大要、
「バーベキュー大会への参加は当初から否定しており、複数のマスコミも事実を確認することができなかったと聞いております。(別の候補者の集会があったことは)事実です」
と回答した。
「思うつぼ」論のうそ
鈴木氏は事件から1年となる今、改めて強調しておきたいことがあるという。
「山上の動機、犯行に至った経緯を追うことについて、犯人の『思うつぼ』だとの議論があります。それを探ること自体が、テロリストの主張を世に知らしめ、結果的に加害者を利することになる、と。しかし、それは根本的に間違っていると思います」
なぜならそもそも、
「山上の事件が起きるまで統一教会の問題はまったくと言っていいほど無視されてきた。元首相が殺害されるという事件は、そのような背景のもと、起こってしまったんです。再発防止のためにも動機に迫ることは絶対に必要です。むしろ、政界とカルト宗教について膿を出し切る動きを阻むことの方が問題でしょう。『思うつぼ』論などには臆せず、われわれは山上ときちんと向き合うべき。そこからしか事件の答えは見つかりません」
1年がたっても、銃撃の残響は収まらないままだ。
山上被告の母が明かした事件への思い、そして裁判を巡る意味深な言葉については後編を読む。
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