「盗聴裁判」出廷のヘンリー王子 “メーガン妃批判”で番組降板の名物司会者に猛反撃「恐ろしい個人攻撃と脅迫の集中砲火にさらされた」

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話題と賛否両論を集め続ける毒舌メディア人

 違法な手段で情報を収集したなどとして、ヘンリー王子ら4人が英タブロイド紙「デイリー・ミラー」などの運営企業ミラー・グループ・ニュースペーパーズ(MGN)を相手取って起こした訴訟。英国の主要王族が証言台に立つのは約130年ぶりとあって、6月上旬に英ロンドンの高等法院で行われた審問は世界中で報じられた。

 訴訟の基本構図は「セレブ対タブロイド紙」だが、ヘンリー王子にとっては「因縁の相手」との対決という側面もある。その相手とはMGNではなく、ジャーナリスト出身のブロードキャスター、ピアーズ・モーガン氏だ。

 ヘンリー王子夫妻を批判するメディア関係者は多いが、モーガン氏はストレートな物言いで旗振り役的な立場にある。ヘンリー王子夫妻が王室を離脱した際は「歴史上もっとも甘やかされた2人のお子様」と切って捨て、メーガン妃の発言に矛盾があれば「プリンセス・ピノキオ」と揶揄。「称号のはく奪」を主張した回数はもはや数えきれない。

 現在58歳のモーガン氏がメディア業界に入ったのは80年代後半。「ニュース・オブ・ザ・ワールド」(廃刊)と「デイリー・ミラー」の編集長を歴任したそのキャリアは、不謹慎な記事タイトルやインサイダー取引疑惑、取材対象者とのトラブル、捏造写真騒ぎ(本人は否定)など、まさにタブロイド紙 の紙面そのものだ。

 ただし、問題のある記事ばかりを世に出していたわけではない。政治や社会の理不尽な問題を鋭く批判し、庶民の代弁者として支持を集めたからこそ現在の地位がある。ヘンリー王子夫妻への批判にしても、そもそも庶民の“ニーズ”がなければ注目もされない。

 90年代後半から進出したテレビ業界でもブロードキャスターとして活躍。英米両方の「ゴット・タレント」審査員や自身の名を冠した米CNNのトークショーなど、話題の番組に数多く出演している。また2022年には、クリスティアーノ・ロナウドのインタビューでブリティッシュ・スポーツジャーナリズム・アワードのスクープ・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

 2021年3月には、ヘンリー王子夫妻のインタビュー番組に対する批判発言で物議を醸し、長く司会を務めていた人気朝番組「グッド・モーニング・ブリテン」を降板。メーガン妃本人のものを含む大量の苦情が寄せられたが、モーガン氏は番組での謝罪を拒否して降板を選んだ。

 この時に番組内でモーガン氏と口論した相手は、「あなたはメーガン妃から縁を切られた」などと発言した。ヘンリー王子と交際する前のメーガン妃がモーガン氏と面会し、その後に音信不通となったのは有名な話だ。そのため、モーガン氏が恨みを抱いているという見方もあるが、当の本人は「のちにメーガン妃への見方が変わった」と述べている。

 話題と賛否両論を集め続ける毒舌ブロードキャスター&ジャーナリスト。そんなモーガン氏にも“アキレス腱”は存在する。ヘンリー王子は、今回の裁判でそれに触れた。

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