今や若手芸人の注目株、東京ホテイソンの「武器」と「幸運」とは

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武器を見つけたことで一気に飛躍

 お笑いの世界で生き残るには「武器」が必要だ。特に、キャリアの浅い若手芸人にはそれが欠かせない。

 長く芸人を続けていると、技術が上がってしゃべりや演技にも安定感が出てくるので、観客を巻き込みやすくなる。特定の武器を持っていなくても、笑いやすい雰囲気を作ることはできる。

 しかし、若手芸人がのし上がるには、何らかの強力な武器が必要だ。ルックス、キャラクター、ギャグ、ネタ……武器の種類は何でもいい。ほかの芸人とは違うものがあれば、それを武器として磨いていけばいい。

 デビューから約3年経った頃、20代前半の若さで注目された東京ホテイソンも、1つの武器を見つけたことで一気に飛躍したタイプの芸人である。彼らの強力な武器となったのは、漫才中にツッコミ担当のたけるが真正面を向き、大きな身振りからポーズを決めて大声を張り上げる「備中神楽ツッコミ」だった。

 彼は岡山県出身で、地元の伝統芸能である備中神楽に親しんでいて、その節回しを応用して独特のツッコミを編み出した。たけるは声がよく通るし、見た目も華があって目立つ。そんな彼の「備中神楽ツッコミ」は東京ホテイソンの代名詞となり、彼らは「ネタパレ」(フジテレビ)などのネタ番組を中心に活躍するようになった。

第七世代と呼ばれることがほとんどなかった“幸運”

 その後、彼らはさらにネタを磨き、2020年の「M-1グランプリ」で悲願の決勝進出を果たした。この時期にはすでに、最大の武器である「備中神楽ツッコミ」をものにしており、それを生かすためにネタを何段階も進化させていた。

 M-1ファイナリストという実績を引っさげて、彼らはバラエティ番組にも出るようになった。朝の情報番組「ラヴィット!」(TBS)にはレギュラー出演していて、MCの川島明から温かい目線で見守られている。

 若くして世に出た彼らはちょうど「第七世代ブーム」の真っ只中にいたのだが、不思議と第七世代と呼ばれることはほとんどなかった。これはある意味では幸運だったと言えるかもしれない。

 ブームの波に巻き込まれなかったことで、そこで激しい浮き沈みを経験することなく、着実に腕を磨くことができたからだ。それがのちの「M-1」決勝進出にもつながっている。

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