楽天「石井一久体制」で暗黒期に突入か…他球団から大量選手をかき集めた“大きすぎる問題点”

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今のチームを作ってきた“総責任者”

 昨年は5月に11連勝を記録しながら、終盤に失速して4位に終わった楽天。今年も5月中旬に最下位に沈むなど、さらに苦しい戦いとなっている。低迷するチームでささやかれているのが石井一久監督の“責任問題”だ。今年は、昨年まで兼任していたゼネラルマネージャー(GM)を辞して監督に専念しているが、それでも結果が出ておらず、手腕に対する疑問の声も多い。【西尾典文/野球ライター】

 チームの成績に対する責任は、もちろん監督だけにあるわけではない。だが、石井氏は2018年9月にGMに就任しており、今のチームを作ってきた“総責任者”。下位に低迷すれば、責任を問われるのは、当然と言えば、当然の話である。では、石井体制の問題点はどこにあったのだろうか。

 まず、揃えた戦力を生かしきれなかったことが挙げられる。石井氏がGMに就任してから大型補強を次々に敢行。投手は涌井秀章(現・中日)、牧田和久(引退)、田中将大。野手は浅村栄斗や鈴木大地、炭谷銀仁朗、西川遥輝ら実績を持つ選手を大量に獲得した。

 昨年オフはソフトバンクの大補強が話題となったが、過去5年間で見れば、楽天は、12球団のなかで最も他球団の主力選手をかき集めたチームである。にもかかわらず、最高成績は2019年と2021年の3位で、リーグ優勝に届くことはなかった。補強コストを考慮すると、成果が十分だったとは言えない。

GMと監督を兼任する“異例の人事”

 さらに、石井体制での不可解な点が、現場の指揮官の人選である。2019年オフには3位に躍進した平石洋介監督(現・西武ヘッドコーチ)を解任して物議を醸した。続いて就任した三木肇監督(現・楽天二軍監督)もわずか1年で退任。最終的には、石井氏がGMと監督を“兼任”することになった。

 楽天球団の人事には、三木谷浩史オーナーの意向も影響していると考えられるが、監督やコーチの人選は、当時GMだった石井氏の主導で行われたと言われている。平石、三木両監督の手腕は、わずか1年間の指揮(※平石監督は前年6月から監督代行)で判断することは難しい。短期間で現場のトップである監督がこれだけ入れ替わることは、優勝を狙えるチームを作る上でも得策とは言えなかったのではないか。

 また、GMと監督を兼任するという“異例の人事”についても、GMは長期的なチームの強化、監督は現場で優勝を目指すという、ある意味で相反する役割であることを考えると、兼任を承諾したこと自体がナンセンスである。仮に、三木谷オーナーの意向が強かったのだとしても、上手く現場を調整できなかった石井氏のGMとしての責任は大きいと言えるのではないか。

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