首位「岡田阪神」 優勝のカギは非情采配 ノイジーの扱いが吉と出るか凶と出るか

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「貯金20」の壁

 阪神タイガース・岡田彰布監督(65)が鬼に徹することができるか――優勝を占う大きな要因となりそうである。岡田阪神は、ペナントレースを“快走中”で、独走態勢を構築しつつあるとも言えるが、どうしても「詰めの段階」で躓いてしまう。

「近年のセ・リーグの優勝チームは、『貯金20』以上を稼いでいます。阪神はどうしても、その『20の壁』を超えられないんです」(NPB関係者)

 過去3年のデータを見れば、それは明白だ。

 2022年優勝の東京ヤクルトは80勝59敗4分け(貯金21)、21年優勝のヤクルトは73勝52敗18分け(貯金21)、20年の巨人も67勝45敗8分け(貯金22)を記録している。ちなみに、同年の福岡ソフトバンクも73勝42敗5分けで「貯金21」をマークしており、「貯金20超え」が一つのバロメーターになっているのだという。

「今季の阪神の貯金は『18』が最多タイ。5月のトータル成績は19勝5敗と好調。また、交流戦には18勝4敗の貯金17で突入しました。でも交流戦最初のカードである埼玉西武に負け越し、次節の千葉ロッテ戦には勝ち越したものの、チームの勢いが止まった感じがします」(前出・同)

 見方を変えれば、貯金20を超えられたとしても、それを継続できなければ、長いペナントレースのどこかで逆転できるチャンスがあると、ライバル球団は捉えているわけだ。

 失速につながった敗因は、打線のつながり。具体名を挙げられたのが、左翼を守る、シェルドン・ノイジー(28)である。

「立っとるだけで、全部フォアボールやんか!」

 6月6日。岡田監督が怒りを爆発させた。「1対4」で楽天戦の初戦を落としたのだが、

「(打席に)立っとるだけで、全部フォアボールやんか。そんなんお前、何十回目よ。おん?」

 と、試合後の監督インタビューで声を荒らげたのだ。初回1死三塁でノイジーは、2ボールから見送ればボールになる球に3球連続でバットを出して三振。安易にボール球に手を出す悪いクセが、いくら注意しても直らないというわけだ。

「日本球界のストライクゾーンをきちんと把握できていないと、岡田監督は開幕前からノイジーのことを心配していました」(スポーツ紙記者)

 翌7日、岡田監督はノイジーを外し、3番DH・前川右京(20)、9番左翼・島田海吏(27)、そして梅野隆太郎(31)を6番に挙げる改造打線で臨み、14安打11得点と快勝した。「4点差」以上をつけての勝利は5月19日の中日戦以来19試合ぶり。大抜てきされた前川も5打数2安打と結果を出したので、しばらくは「3番前川」の打線で行くのかと思われたが、8日の試合で、ノイジーを再びスターティングオーダーに戻したのである。

 岡田監督の温情だろう。しかし、「鬼」にならなければならないときもある。

「しばらくはスタメンから外れ、頭を冷やし、リフレッシュさせる期間を設けるのだと思っていました。でも、『続けてスタメンから外すのは逆効果』と判断したのでしょう。前川のDH起用もそうですが、ノイジーをスタメンに戻すことを決めたのも岡田監督です」(在阪メディア関係者)

 温情采配が吉と出るか凶と出るか――。

 同日のノイジーは4打数1安打。しかし、逆転の猛攻となった8回表には貢献していない。ノイジーの前を打つ2番・中野拓夢(26)がイニングの先頭バッターで、四球を選んだ。3番のノイジーはライトへの凡フライだった(落球)。

 9回裏、万全を期して投入したはずのクローザー・湯浅京己(23)がサヨナラ3ランを許してしまう。ノイジーに敗因を押し付けるわけではないが、こんな指摘も聞かれた。

「6月5日の千葉ロッテ戦でも同じようなシーンが見られました。イニングの先頭バッターだった中野が四球を選んだものの、ノイジーはライトへの凡フライ。ストライクゾーンの把握もそうですが、気負っているのか、日本人投手の変化球に追いついていけていないのか…。バットを叩きつけて悔しがっていたので、イライラが募っているのは間違いありません」(前出・同)

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