「開催2日前にいきなり電話で言われ…」共産党の申し入れで「水着撮影会」が中止に 騒動の裏側に迫る

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イベント中止側の主張

 とばっちりで中止に追い込まれた主催者はたまったものではない。

「私たちの会社では、6月3、4日にもしらこばと水上公園でプール撮影会を開催していますが、会場のルールを厳守していましたし、他主催団体の撮影会よりも多くスタッフを雇ったりと、コストをかけていました」

 こう憤るのは6月10日に川越水上公園で開催予定だったフレッシュプール撮影会を中止することになった株式会社エーテルの植田章太郎さんだ。

 同社では今年に入って追加された衣装やポーズ、未成年の出演不可のルールをきちんと順守してきた。撮影会の会場となるプールは外からは中の様子がほぼ見えず、ゾーニングもしっかりしているが「周りから見えないようにしてくれと依頼があれば、ブルーシートを張り、見えないようにしていた」という。

 そんな植田さんのもとに会場の川越水上公園から中止の要請があったのは、水着撮影会の開催を2日後に控えた8日朝だった。

「突然、電話で中止してくれないかと連絡があり『簡単には受け入れられない。損害額を補償してくれるのか』と返しました。そこで会場側が『いったん確認します』となり、再び会場の責任者から中止要請があり、10日の撮影会の中止を決めました」

 植田さんの会社では中止となった水着撮影会の開催のために数ヶ月前から準備を進めており、損害額はトータルで1000万円ほどになるという。

「当日出るはずだった出演者さんやスタッフ、会場のキッチンカーや移動のバスの運転手などを含めると150人以上が仕事を失いました。遠方のファンの方には航空券のチケットも取り、ホテルも押さえている人もいます。中止要請がもう少し早ければ代替会場も探せましたが、2日前ではそれもできません」

 なお損失の補填について、埼玉県公園緑地協会は「イベントの大小、準備の期間によって損害は変わるので主催者のヒアリング、顧問弁護士と相談し適切な対応はしていく」と取材に答えている。

 今後、埼玉県でこうした撮影会を開催するのは絶望的だが、ではそれ以外の場所でプール撮影会を継続できるかというと、そこも難しいという。

「西武園ゆうえんちはリニューアル後はプール撮影会などに貸し出さなくなっています。プールを営業しているそのほかの団体さんも撮影会イベントに会場を貸し出すことを控えています。そのため埼玉の県営公園に水着撮影会が集中した背景があるのです。他県にもプールはありますが、ほかの自治体も埼玉の流れを受けて、難しくなる可能性は高いです」

 植田さんの会社は会場側からも「御社はルールを守ってくれていて問題はなかった」と明言された。今後も埼玉県での水着撮影会の可能性を模索したいと考えているが、それも叶いそうにない。埼玉県公園緑地協会は取材に対し「水着撮影会に関しては今後受けない」と断言している。

 グラドルやアイドル、レイヤーなどが集い、出演が彼女たちの一つの目標となっていたプールでの大規模水着撮影会だが、その命は風前のともしびといえる。ルールを守っている団体すら開催を許可しないのであれば、はたしてそれは“健全”といえるのだろうか。

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku

デイリー新潮編集部

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