日本は本当に「難民に冷たい国」なのか 難民審査参与員が明かす「デタラメ申請」の数々

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感情的な議論が問題

 しかし、こうした参与員審査のために、入管当局は分厚い資料を作り、通訳を用意し――と多大な手間や費用をかけている。これを適正化し、膨大な申請の中に隠れた“本当の難民”を見つけ出すことが重要なのだが、新聞やテレビは一切、その実態を報じないのだ。

「私のケースも難民とは認められない申請者ばかりで、これまで1人しか認定したことがありません」

 と証言するのは、10年以上務めてきたまた別の男性参与員だ。

「理のない難民申請を続け、いつまでも日本に居続ける行為を認めてしまえば、正規のルートで入国し、ルールを守って働いている大多数の外国人が馬鹿を見ることになってしまいます。入管行政の根本が崩れてしまう。それで果たしていいのでしょうか」

 前出の柳瀬さんは、

「何より問題なのは、難民を巡る議論が感情的なものに終始し、日本社会が外国人とどう向き合っていくのかという議論がまったくなされていないことです」

 としてこう続ける。

「日本は外国人の占める割合が非常に少ない国です。これまでの難民認定のルールを変えるというのであれば、広範な議論を慎重に行った上で、合意と覚悟を形成していくことが必要です。それを抜きに、移民を受け入れる国家並みに緩やかな基準で難民認定しろ、ではあまりに無責任だと思います。送還すべき外国人には法律に基づいて毅然と対応し、その上で、今後外国人とどう向き合っていくべきかを真剣に議論する時が来ているのではないでしょうか」

週刊新潮 2023年6月8日号掲載

特集「『ウィシュマさん』が旗印で『改正入管法』大揉め 新聞・テレビが報じない『ニセ難民』『デタラメ申請』」より

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