「ワクチンのネガティブな情報は出さない暗黙の了解が」 NHK「ニュースウオッチ9」の“捏造”疑惑

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取材のスキルや人脈がない

 5月16日の「ニュースウオッチ9」では、田中正良キャスターが前日に放送された問題の映像に触れ、

「ご遺族と紹介して三人のインタビューをお伝えしましたが、この方たちはワクチンを接種後に亡くなった方のご遺族でした。このことを正確に伝えず、新型コロナに感染して亡くなったと、受け取られるように伝えてしまいました。取材ではワクチン接種後に亡くなった方のご遺族だと認識していました」

 として謝罪。しかし、かような映像が放送されるに至った経緯は説明されずじまいだった。一体、裏ではいかなる事態が進行していたのか。

「今回問題となった映像を制作したのは若手の編集マンです。編集マンが提案して自ら映像を制作することは珍しい。編集マンは自分で取材して映像を作るのではなく、素材を構成する人たちだからです」

 と、NHK関係者。そもそもの企画の主旨は“5類になったけどコロナ禍を風化させない”というものだったといい、

「企画を提案した若手編集マンは記者ではないので取材のスキルや人脈がなく、コロナで亡くなった方の遺族を見つけることができなかった。そして、『繋ぐ会』に取材を申し込むわけですが、その時点で“コロナでもワクチンでも広い意味ではコロナ禍で死んだ人だ”ということで編責(編集責任者)やCP(チーフプロデューサー)たちは合意したようです」(同)

関係者全員が“共犯”

 取材相手がコロナワクチン被害者遺族であることは、取材者だけではなく、番組上層部も把握していた。それを示すメールが残されている。それは取材者や編責、CPを含む関係者間で共有されていた「連絡メール」と呼ばれるもので、その中に〈副反応でなくしたと訴えるが表現は慎重に〉との文章がある。取材対象者がコロナワクチン被害者遺族でなければ〈副反応でなくしたと訴える〉との文言は絶対に入らないはず。さらに、〈表現は慎重に〉という記述にも注目する必要がある。なにしろ、

「NHK報道局では、ワクチンのネガティブな情報は一切出さない、という暗黙の了解がある」(同)

 それゆえ、コロナワクチン被害者遺族を取材してもそのまま放送できない可能性が大。そこで、「ワクチン死」を「コロナ死」にすり替えてしまおう、と密謀をめぐらせたのでは――そんな疑いも捨てきれないのだ。

「編責やCPは事前に試写で問題のVTRを確認しています。また、取材に応じたワクチン被害者遺族のインタビューを書き起こしたものは、アナウンサーも含めて、番組に関わる全員に事前に共有される。つまり今回の問題は“チェックをすり抜けた”のではなく、番組関係者全員が最初から共犯だったのです」(同)

「繋ぐ会」の鵜川氏が言う。

「憤りを通り越して、あきれるしかありません。そして何より遺族の方に申し訳なくて……。NHKがきちんと河野さんたちの思いを伝える訂正放送を流さない場合は、BPO(放送倫理・番組向上機構)に訴えるつもりです」

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