巨人・ブリンソンに負けない?「チョンボ&珍プレー」で名を売った“懐かしき助っ人”

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“珍プレー史”に残る大ポカ

 打球の行方も確かめずに暴走したり、アウトカウントを間違えてベースを離れてタッチアウトになるなど、巨人の新外国人、ルイス・ブリンソンの呆れた珍プレーが話題を呼んでいる。そして、過去にもブリンソンに負けず劣らずのチョンボや珍プレーで有名になった助っ人が存在した。【久保田龍雄/ライター】

 ブリンソン以前に“アウトカウントを勘違いした助っ人”として名を馳せたのが、巨人では先輩にあたるクリス・レイサムである。

 2003年、松井秀喜のヤンキース移籍で手薄になった外野陣の穴を埋めるため、4月末に巨人入りしたレイサムは、ヤンキース時代に“バーニー・ウィリアムスの守備固め”で鳴らした名手だった。

 5月13日の横浜戦で清原和博の代打としてデビューしたレイサムは、同15日の横浜戦に7番ライトでスタメン初出場をはたしたが、出場6試合で13打数1安打と、打つ方はさっぱりだった。

 そして、5月21日のヤクルト戦では、得意の守備でも“珍プレー史”に残る大ポカを演じてしまう。1対0とリードした6回の守り、1死一、二塁のピンチで、巨人の先発・高橋尚成は、鈴木健に左中間への大飛球を打たれてしまう。だが、レフト・レイサムが背走し、フェンス手前で好捕。「さすがは守備の名手」と頷けるプレーだった。

 ところが、そのあとがいけない。直後、レイサムは2死なのにスリーアウトと勘違い。センター・斉藤宜之が三塁への送球を指示しているにもかかわらず、数歩先のフェンスまで歩み寄ると、ボールをファンサービスでスタンドに投げ入れてしまった。

「チームにはひどいことをした」

 これには、レイサムの捕球直後、マウンドでグラブを叩いて喜んだ高橋も顔面蒼白になり、「アーッ!」と絶叫。ベンチの原辰徳監督もショックのあまり、ヘナヘナと座り込んでしまった。

 一方、いったん帰塁した二塁走者・宮本慎也は「捕球後の動きを見て、アウトカウントを間違えてるなと思った」とタッチアップして三塁を回ると、同点のホームイン。審判団も協議の結果、カメラマン席にボールが入ったときと同様のケースと見なし、2つの進塁を認めた。

 元メジャーリーガーらしからぬ大失態に、右手で顔を覆うしぐさで恥じ入ったレイサムは「ファンにはいいことをしたが、チームにはひどいことをした」と落ち込んだ。

 だが、その裏、「ああいう(プレー)のがあったからではない。でも、あのまま負けるわけにはいかないから」と意を決して打席に入った高橋由伸が左中間に値千金の決勝ソロを放ち、ミスを帳消しにしてくれたので、結果的に救われた。

 巨人2年目は1度も1軍出場がないまま人知れず消えていったレイサムだが、ブリンソンのチョンボ連発によって、再びその名がクローズアップされたのは、皮肉としか言いようがない。

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