旧態依然としたアマチュア球界の問題点 「深夜まで雑用が多くて、練習ができない」と号泣する選手も

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高校野球よりも“古い体質”が残る大学野球

 侍ジャパンのワールド・ベースボール・クラシック(WBC)優勝に沸く今年の日本球界だが、その一方で物議を醸すような出来事も起きている。3月に行われた選抜高校野球で東北高校の選手がWBCで活躍したヌートバー(カージナルス)ですっかりおなじみになった“ペッパーミル”を行ったところ、審判から注意を受け、賛否両論が巻き起こる大論争となったのだ。さらに、4月に入ると新たな大谷翔平(エンゼルス)モデルのスパイクがデザイン上の理由で高校野球連盟(以下、高野連)主催の公式戦では使用できないことが判明した。この決定に対しても多くの疑問の声が上がっている。【西尾典文/野球ライター】

 これまでも大会運営や審判の対応、球数制限など高校野球に関しては高野連の対応やその体質に対して批判の声が寄せられることが多く、今後もあらゆる面で時代に合わせた改善が必要になるだろう。しかしその一方で、高校野球ほど一般的な注目度が高くないため取り上げられることは少ないが、アマチュア野球の他のカテゴリーでも、旧態依然とした野球界の問題点がある。

 大学野球は、高校野球よりも“古い体質”が残っている。いまだに厳しい“理不尽”とも言える上下関係があるチームも多く、その体質が合わずに早々に退部、退学する選手がいる。ある高校の監督は、こんなエピソードがあったと話す。

「自分のチームから、某大学に行った選手から夜中に電話がかかってきて、『どうした?』と聞くと、こんな時間まで洗濯などの雑用が終わらないと……。野球をやるために入ったのに、それ以外の仕事が多くて練習がろくにできないと言って泣くんですね。電話があったのは正式に入学、入部する前の2月だったと思いますけど、その時期から、まだそんな雑用があるのかと思って驚きました。その選手は何とか我慢して続けましたけど、いまだにそんなことで、野球も大学も辞めてしまう選手がいることは本当に残念ですよね」

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