「コロナ」5類移行でも浮かない顔の開業医たちの本音 「病床補償で儲けた大病院こそ…」の呆れた言い分

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 5月8日、新型コロナウイルスの法律上の分類が季節性インフルエンザと同等の5類に引き下げられ、世の中は徐々に日常を取り戻しつつある。医療体制も見直され「平時」への移行が進むなか、実は水面下で医療機関同士による“つばぜり合い”が起きているという。

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 これまで新型コロナの診療は大学病院など「特定の医療機関」に限られてきたが、8日以降はより幅広い医療機関で診ることになる。

「入院患者を受けいれる医療機関は移行前の約4900カ所から、9月末までに約8300カ所へ増える予定です。また外来対応する医療機関もこれまでより2000カ所増え、全国で約4万4000機関にのぼる見通し。しかしインフルエンザに対応する医療機関約6万4000カ所に比べるとまだ開きがあるため、厚労省はコロナ受診が可能な医療機関をさらに拡大したい意向です」(全国紙厚労省担当記者)

 大きな病院だけでなく、街のクリニックなどでも診療が可能となれば、国民にとっては利便性だけでなく、安心感も増す。が、「医療の平時体制」への移行がスムーズに進むかは予断を許さない状況にあるという。

「外来を受け付ける医療機関約4万4000カ所のうち、かかりつけ患者以外にも対応するのは約2万8000機関に過ぎません。インフルエンザ並みの医療体制にはほど遠く、“課題は山積みだ”との声が厚労省内でも上がっています」(同)

 背景の一つに指摘されるのが、医療従事者側の心情に「2類相当」の名残が消えない点という。

「コロナで儲けたのは誰だ?」

 会員のおよそ半数を開業医が占める日本医師会関係者が「町医者」側の“胸の内”をこう代弁する。

「これまでコロナ診療をした経験がないため、不安に感じている開業医が多いのは事実。同じ5類とはいえ、インフルエンザよりオミクロンのほうが感染力は強いとされ、コロナ患者の受け入れに消極的な開業医が少なくないのも否定はしない。実際、感染対策のノウハウもコロナ患者を受け入れてきた大病院などと比べると未整備な部分はあり、5類移行を機に一気に門戸を開放するというわけにはいかない事情がある」

 特に医師本人が高齢だと感染した際の重症化リスクも高いため、慎重を期す傾向にあるという。例えば、コロナ診療を始めるにしても“かかりつけ患者だけ”にとどめたり、コロナの診療時間を限定するケースなどだ。

 都内で内科クリニックを経営する医師に話を聞くと、匿名を条件に本音をこう語った。

「“コロナが怖い”というよりも、これまで大病院は病床確保料で散々儲けてきたのだから、5類移行後も引き続き“彼らがやるべきだ”との思いを抱えている開業医は多い。政府がバラ撒いたカネは大病院へ流れ、私たちには何の恩恵もなかった。それなのに、いまさら“今後はお前たちもコロナ患者を診ろ”と言われても困る――というのが率直な感想だ」

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