満身創痍のタイガー・ウッズ 長年の相棒キャディとの別れ、元恋人による3000万ドル訴訟の真相

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 男子ゴルフ界では、来たる5月18~21日に今季2つ目のメジャー大会となる全米プロゴルフ選手権が開催される。そして6月には全米オープン、7月には全英オープンを迎える。かつてなら「メジャー・シーズンといえばタイガー・ウッズ(47)」だったが、今年はもはやメジャー大会に登場する可能性は皆無と言っていい。【舩越園子/ゴルフジャーナリスト】

10回目の手術を受けたばかり

 2021年2月の交通事故で右足に重傷を負い、今なお回復途上にあるウッズ。今年4月のマスターズでは、決勝進出は果たしたものの、悪天候による不規則進行の中、第3ラウンドの残りを消化できないまま無念の途中棄権となった。その後、彼はニューヨークへ飛び、右足の外傷後関節炎を治すための距骨下関節固定術なる手術を受けた。

 これでウッズが受けた手術は、交通事故後の緊急手術を除けば、膝が4回、腰が5回。今回で10回目の手術になった。メジャー15勝、PGAツアーで82勝の強靭な肉体であっても、手術後の回復に時間を要することは言うまでもない。

 米国のある医療機関の見立てによれば、ウッズが回復に至るまでのプロセスは、最低でも右足にまったくウエイトをかけない状態で6週間、ブーツやギプスを付けた状態でさらに8~12週間を要するそうだ。ウッズがこれから開催される今年の残り3つのメジャー大会に出場することは、まず無理ということになる。

キャディ移籍の真相

 そんな折り、ウッズの長年の相棒、キャディのジョー・ラカバの「移籍」が米メディアによって報じられた。ラカバがPGAツアー選手のパトリック・カントレー(31)のバッグをフルタイムで担ぐことになったというニュースを聞いて、あたかもラカバがウッズを見限ってカントレーに乗り換えたかのように受け取る向きもある。しかし、私は決してそうではないと思っている。

 ラカバはケン・グリーン(64)にはじまり、フレッド・カプルス(63)、ダスティン・ジョンソン(38)のキャディを経て、2011年からウッズのバッグを担いできたが、どのボスの時代にも誠心誠意、尽くしてきたキャディの鏡のような人物だ。

 ウッズとは足かけ13年の付き合いで、2人で挙げた勝利数は「11」。4回目の腰の手術と長期の戦線離脱、そして世界を驚かせた逮捕劇の後に挙げた2019年マスターズでの奇跡の復活優勝も、ラカバと二人三脚で成し遂げたものだ。

 2021年2月の交通事故の際、カリフォルニアの病院にいの一番に駆けつけたのは、当時の恋人エリカ・ハーマン(39)とラカバだった。彼はこれまで、ウッズが腰の手術を受けてツアーを休んでいた間も、交通事故後のリハビリに取り組んでいた間も、ただの一度もボスを変えようとはしなかった。副業的に他選手のバッグを担いだことも皆無に等しかった。

 戦線離脱中のウッズから呼び出されれば、すぐにフロリダの豪邸に駆けつけ、近くの格安ホテルに部屋を取ってさらなる呼び出しに備えた。一緒に食事をしようと言われれば食事をし、「パットで勝負しよう」と言われれば勝負をし、間違ってラカバが勝ってしまったときなどは、遊びなのに不機嫌になってしまったウッズのため、一晩中、気を遣いながらホテルで待機したこともあった。

 ウッズの度重なる戦線離脱の期間中、ラカバは大好きなキャディ業にいそしむことができなかったわけだが、ウッズはそんなラカバのことを思いやり、すでに59歳になったラカバのツアーキャディとしての残り時間を有意義に使ってほしいと願っている。

 だからこそ、ウッズが再び手術を受けて戦線離脱した今、ラカバがカントレーのキャディになることをウッズも快く認め、「いいよ。頑張れ」とエールを送ったのだろう。

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