「隆二の何を知ってるのか知らんけど…」 岸田総理襲撃の容疑者の父が取材に語った本心

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 元総理が凶弾に斃(たお)れた記憶も生々しい折も折、刷新された警察のマニュアルをあざ笑うかのごとく今度は、現職の総理が爆弾で襲撃される事件が起きた。容疑者が指名した著名な弁護士、実の父親が本誌(「週刊新潮」)に語ったこと。そこから浮かぶ“テロリストの心象風景”とは。

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 和歌山県和歌山市。紀伊水道に面した雑賀崎(さいかざき)は、

〈紀伊国の/雑賀の浦に出で見れば/海人の燈火/波の間ゆ見ゆ〉

 かつてそう万葉集にも歌われた歴史ある地で、最近はイタリアの景勝地になぞらえ“日本のアマルフィ”とも称される。そんな風情漂う静かな港に4月15日の昼前、耳をろうするドーンという爆発音が鳴り響いた。

 岸田文雄総理(65)は小雨降る中、衆院和歌山1区補欠選挙の応援のため、演説会場となった漁港を訪れていた。スピーチへと移る矢先に爆発物が投げ込まれて炸裂。約200人の聴衆から悲鳴が上がり、現場は混乱に陥った。

岸田総理も私も間違いなく…

「自分は岸田総理と2メートルほど離れたところにいました。総理が演壇の周囲の人々と握手して壇上に登ろうとした際に、カラカラという乾いた音が聞こえまして」

 こう語るのは、自民党の浜田真輔和歌山市議(61)。

「ふと見ると、長さにして30センチほど、両端にキャップのようなものが付いた銀色の筒が目の前に転がり落ちてきたのです。白い煙が数秒間出ていたものの、何も起こらないので“なんだこれ、煙しか出ないのかな”と安心したのですが……」

 それは、若きテロリストが投じた手製のパイプ爆弾だったのだ。

「ものすごい音がして、腰が抜けそうになってね。慌てて逃げたので、犯人の様子までは見えませんでした。あの爆弾がもっと大きく炸裂していたら、岸田総理も私も間違いなく命を落としていたでしょうね」(同)

 警視庁のSPや和歌山県警警備部は、誰より先に危険排除へ動き出すべきだったが、出足は鈍かった。

 代わりに爆弾犯の身柄を取り押さえにかかったのが二人の漁師だ。その一人、寺井政見さん(67)の話。

「船の板子一枚、下は地獄。せやから、わしらは助け合っとる。(今回も)仲間が犯人に飛びつくのを見て、お手伝いしただけや。(それに)悪いことをやった人は捕まえなあかんからな。それだけのことや」

 さすが海の男の弁はシンプルで力強い。さらにこんな豪胆な行動にも。

「犯人が(投げようとしていた2発目の)爆弾を落とすのを見たからね。それを拾って、警察のほうに持って行こうとしたんよ。そしたら警察の人は、そこに置いといてくれっちゅうて。(爆弾の重さは)1キロないぐらい。重量感はあった」

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