中日ロドリゲスだけじゃない…チームに合流せず、来日を拒んだ「お騒がせ助っ人列伝」

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“キューバの至宝”

 先月開催のワールドベースボールクラシック(WBC)にキューバ代表として出場した中日の中継ぎエース、ジャリエル・ロドリゲスが大会後、失踪し、NPBのシーズン開幕後も来日せず、いまだ音信不通となっている(4月11日現在)。この結果、昨季の最優秀中継ぎ投手を欠いた中日は、開幕から苦しい戦いを強いられている。そして、過去にも、チームに合流せず、来日を拒んだ助っ人たちがいた(文中の金額はいずれも推定)。【久保田龍雄/ライター】

 ロドリゲスと同じキューバ出身選手では、2015年のDeNAの内野手、ユリエスキ・グリエルの“来日拒否事件”が知られる。

 前年DeNAと契約し、出場62試合で打率.305、11本塁打を記録した“キューバの至宝”は、「もし選べるなら(来季も)DeNAに戻ることを選ぶ。監督も選手も通訳もファンも、非常によくしてくれた」と残留を希望し、年明け後の15年2月2日、年俸3億5000万円の1年契約を交わした。同時に弟の内野手、ルルデス・グリエル・ジュニアも2年契約でDeNA入団が決まった。

 ところが、翌3日、米国、キューバ両国間の国交正常化への動きに伴い、大リーグ機構がキューバ選手との契約の際に必要だった米政府の許可取得の撤廃を各球団に通達し、選手本人の宣誓書提出でメジャーとの契約が可能になると、雲行きが怪しくなってきた。

「ウチには必要がない」

 当初3月24日に来日する予定だったグリエルは、右太もも痛を訴え、左手首痛の弟とともに「来日は完治後を希望」とチームへの合流を拒否したのだ。もともとグリエルはメジャー志向が強く、メジャー移籍を狙った“見え見えの行動”と思われても仕方がない。

 シーズン開幕間近になっても来日のメドが立たず、本人とも連絡が取れない事態に業を煮やしたDeNAは、最後の手段として3月30日、成田空港着の航空チケットを用意して来日を促したが、搭乗客の中にグリエルの姿はなかった。

 ついに4月2日、我慢も限界に達した高田繁GMは「メジャーでも日本の球団でも獲りたいところがあれば獲ればいい。ウチには必要がないと判断した」と三下り半を叩きつけ、弟にも制限選手(保有権を残したまま年俸と移籍を制限)の措置が取られた(シーズン後に自由契約)。

 その後、「何も聞いていなかった」と言い訳し、キューバ国内リーグに復帰したグリエルは翌16年2月、弟とともにハイチに亡命し、同年7月にアストロズと契約した。

 同様の例では、17年にソフトバンク入りし、投手と外野手の二刀流で“キューバの大谷”と呼ばれたオスカー・コラスも、1軍デビュー後の20年1月に亡命、制限選手を経て、同年12月に自由契約になった。その後、ホワイトソックスとマイナー契約したコラスは、今年3月30日のアストロズ戦でメジャーデビューしている。

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