リアル店舗“撤退”でも急成長 “同人コンテンツ”の総本山「とらのあな」トップが明かす業績絶好調の理由

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 同人誌をはじめとする“インディーズコミック”市場を牽引してきた「株式会社虎の穴(とらのあな)」の業績が「好調」と評判だ。日本企業の多くがコロナ禍が明けつつある今年に入って反転攻勢へと転じるなか、同社はイチ早く、事業の軸足を“リアルからデジタル”へシフト。その成功の秘密をトップに聞いた。

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 1994年、都内・秋葉原で創業した「とらのあな」は当初、わずか10坪の手づくり店舗からスタート。およそ30年の時を経て、いまや同人誌の委託販売だけでなく、オリジナルwebコミックの配信やアニメ作品への出資など、時代とともに業容を拡大させてきた。

 しかし昨年、国内で最大23あった店舗を池袋店のみ残し、すべて閉店。業界に衝撃を走らせた。

 その背景を「とらのあな」代表取締役の鮎澤慎二郎氏がこう話す。

「最大の理由の一つがコロナ禍でした。20年2月の旧正月に当たる時期はまだ、中国をはじめ海外から多くの方が秋葉原の店舗などを訪れましたが、同年4月に緊急事態宣言が発令されて以降、実店舗の売上は目に見えて落ちていった。コロナ禍が長引くにつれ、採算割れを起こす店も出てくるなど、店舗事業自体が厳しい環境下に置かれました。ただし、幸いにも通販事業は変わらず好調で、売上は前年超えが続いていた。そのため、コロナを契機に“デジタルシフト”を進めたことが、結果的に業績を押し上げることになりました」

 一般企業の売上高に相当する同社の流通総額は前年比121%の307億円(22年度)。同社のサービスを利用したユーザー数も前年比138%の1141万人(同)と急伸した。この間、世界で進んだ“リアルからデジタル”への流れに乗って飛躍した格好だ。

利用客の男女比率は逆転

 同社の最大の収益源は通販事業であり、収益全体の6割以上を占めるとされる。なかでも女性向けの同人誌販売においては、すでに97%がオンラインに移行しているという。

「とらのあなというと“男性向けの同人ショップ”といったイメージが強いかもしれませんが、18年頃にユーザーの男女比率は逆転しています。2000年代まではユーザーの約97%を男性が占めていたものの、14年頃から女性客が目に見えて増えてきました。もともと二次創作などを核とする同人文化は女性のものであって、以前から同人誌の販売会やコミケ参加者には女性の方も多かった。閉じなかった池袋店は女性向けの運営を特色としており、唯一、採算の取れていた店舗でもありました」(鮎澤氏)

 つまり通販・実店舗ともに女性向けの事業は、コロナと関係なく伸び続けているという。

 好調な通販事業に加え、もう一つ、成長の原動力となっているのがクリエイター支援プラットフォーム「Fantia(ファンティア)」の存在である。

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