田中将大とダルビッシュ有が達成目前とはいえ…「200勝投手」は“絶滅危惧種”

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データを活用し、自分を変えられる能力

 しかし、野球界の「データ革命」は、投手にとって不利なものばかりではないこともまた確かだ。前出のアナリストは、結果を残す投手には“共通点”があるという。

「今では、投球練習でボールの回転数などを計測しながら行うことが一般的となっています。重要な点はそれをどう生かしていくのか。例えば、ダルビッシュ選手らは、あらゆる他の投手のボールをチェックして、自分の投球に取り入れているようです。もともと、本人が器用だったというのもあるかもしれませんが、研究熱心であることは間違いないですね。一方、体にかかる負担についても、同様で、今は肘にかかる負荷を計測しながら、投球練習を行う選手が増えています。山本由伸選手(オリックス)や佐々木朗希選手(ロッテ)は、プロに入ってからフォームを変えていますが、速いボールを投げながら、体に負担がかからないようにすることをよく考えているのではないでしょうか。これから活躍する選手は、データを生かす力や、それに合わせて自分を変えられる能力がより求められると思いますね」

 ダルビッシュは、先日パドレスと6年契約を結んだことが報じられたが、42歳となるシーズンまで活躍できると評価されたことは、まさにデータを活用しながら、自身を進化してきたからに他ならない。また、山本由伸や佐々木朗希も春季キャンプでは“更なる進化”を感じさせている。「絶滅危惧種」となっている200勝投手ではあるが、彼らの活躍を見た若い世代からも、驚くような成績を残す投手が現れることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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