「女神の教室」VS「罠の戦争」「ブラッシュアップライフ」の明暗 テレビマンが分析する“リアリティ問題”

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荒唐無稽なリアル感

「他にも『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ)は、来世で人間に生まれ変わるために何度も人生をやり直すという荒唐無稽の極みとも言える設定ですが、実はリアル感で構成されたドラマだと思います」

 脚本はバカリズム。北熊谷市役所に勤務する安藤サクラは交通事故で亡くなってしまうが、死後案内所の受付係(バカリズム)から「来世はオオアリクイに生まれ変わる」と告げられる。再びに人間に生まれ変わるためには徳を積む必要があり、今世の記憶を持ったまま人生をゼロからやり直すことに。ところが、2周目の人生で徳を積んだものの、再び交通事故で死亡。「来世はサバに生まれ変わる」と告げられ、またもや人生を再スタート……と作り話もいいところ。

「3周目の人生で、まさか日テレの社員になるとは思いませんでした。『24時間テレビ』の現場に出た巨大な歌カンペは、実際のものとそっくりだそうです。ドラマプロデューサーが忙しい時に限って来訪するマネージャーの売り込みに、“こんな奴、死んでもキャスティングしてやらない”という主人公の心の声には見透かされたような気がしました。舞台は埼玉県北熊谷市という架空の地方都市ながら、ラウンドワンや夢庵の存在感や使われ方、安藤と夏帆、木南晴夏の仲良し女子3人組の“中身のない会話”、カラオケで染谷将太らが歌う『イケナイ太陽』『粉雪』などの選曲といい、本筋以外のところが実にリアルに描かれているのです」

 初回視聴率は5・7%だったが、第7話では6・5%に上がっている。SNSでの評判も上々だ。

「NHKの『大奥』や大河『どうする家康』も、男女逆転や気弱な家康というどちらも奇抜な設定からスタートしていますが、時代考証や人間関係にはリアル感を塗り込めています。岡田准一の織田信長、ムロツヨシの豊臣秀吉にはデフォルメ感もありますが、納得してしまう説得力を感じます」

 フィクションの中にもリアリズムが必要ということか。

「最近のドラマは脚本家が注目されがちですが、若手も大御所もドラマ化や映画化された『白い巨塔』や『華麗なる一族』『運命の人』……、山崎豊子さんが描いたリアリズムの世界を、もう一度見てもらいたいと思います」

デイリー新潮編集部

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