「酷道」「廃道」をひた走る異色バラエティ「道との遭遇」 番組Pが明かす“低予算ローカル番組”が人気を博す理由

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ゲストは一般人のマニアばかり

 地方局のマニアックな低予算深夜番組が、じわじわと人気を集めている。その番組は昨年4月から東海地方で放送されている「歩道・車道バラエティ 道との遭遇」(CBCテレビ、火曜深夜)。テーマは「道」で、主役は“道マニア”の一般人男女。ゲストと共に「酷道」「廃道」「未成道」「暗渠道」など、多くの人にとって興味の外側にある道を訪れていく。なんとも間口が狭い内容だ。【華川富士也/ライター】

 ゲストも実に独特。たまに芸能人が登場する他は、「タレントマネージャー」「僧侶」「放送作家の母」「ギャル」など一般人ばかり。内容も出演者も、視聴者獲得に背を向けたように見えるのに、なぜか人気を獲得し、昨年10月の改編期を乗り切った。さらにTVerの登録者は1月時点で1万5000人。これは某有名芸人や某人気お笑いコンテスト優勝芸人の冠番組を上回る数字だ。なおMCは漫才師のミキが務めている。

 番組でどんな道が紹介されるかは、出演する道マニア次第。ある日の放送では大阪駅からすぐ近くの繁華街に残る「未成道」が登場した。工事はほぼ終わり、4車線分の道幅が確保されているにも関わらず、中央の2車線がガードレールでふさがれ片側1車線ずつしか通れない。工事開始から20年――。なぜこの道が「未成」のままなのか。道マニアとゲストがその場所を訪れると、立ちはだかっていたのは鉄道の高架線。工事を進められない理由を道マニアが解説した。

 さらに、日本一勾配がきつい国道の坂道や、かつての軍道、さらには、唯一の階段国道、渋谷の暗渠道などを道マニアらが訪れて紹介。そこで繰り出される道マニアの知識が非常に興味深く面白い。

「振り切った番組を作ろう」

 道と道マニアが主役という、独特すぎるこの番組。いったいどういう経緯で始まったのか。

 CBCテレビのプロデューサー・横山公典氏によれば、

「YouTubeや配信サービスなどで様々なコンテンツが見られる昨今、振り切らないと埋没してしまいます。だから何かに特化して振り切った番組を作ろうと考えていました。例えば“寝言”や“物を詰める行為”です」

 しかし、特化した内容で考えていると、「毎週続けられるか」という壁をなかなか乗り越えられないという。そんな中で目を向けたのが“道”だった。

「道は太古の昔からあり、人の生活、文化と関わってきた歴史がある。これなら深掘りできそう。それにみんな毎日道を使っていますから、マニアックなテーマでもないと思ったんです」

 確かに、道は当たり前の存在過ぎてあまり日が当たらないだけで、掘り出したらキリがない、奥の深そうなテーマだ。

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