「どうする家康」で今川義元はなぜ第一話で消えたのか そこには野村萬斎の事情があった

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親子二代のハムレット

 10歳だった2020年1月には福岡市の能楽堂で舞台に立ったが、朝日新聞の西部版に演技を絶賛する劇評が掲載されたこともある(註)。

《初舞台からわずか7年で、これほどに成長するのかと目を見張るものがある。まず口跡が佳い。少年の複雑な心情を伝えるには殊にせりふが重要だが、見事に演じきった。また、表情が佳い。眼力とでも言えようか、役者にとってかけがえのない資質を感じさせる》

 父の萬斎は小中高と筑波大学附属で学び、東京芸術大学に進学した。長男の裕基は高校時代、イギリスへの留学を経て、慶応大に進んでいる。

「もともと萬斎さんは、息子の裕基さんに厳しく接してきました。そして今回は主役のハムレットを演じるのですから、より厳しい稽古になるだろうと言われています。果たしてどれほどの演技を披露してくれるのか、まさに見物ですね」(同・NHK関係者)

 世田谷パブリックシアターの公式サイトに、父子はコメントを寄せている。

 父親のほうは、《師弟関係にもあり常に共演者(ライバル)である息子・野村裕基と組むことに、演出の大きなキモがある》と並々ならぬ意欲が伝わってくる。加えて――

家康vs.ハムレット

《この戯曲では血縁が複雑に絡み、しかし家庭劇には収まらぬ国家存亡の危機が横たわる。私達親子にとっては日本の伝統的文化存亡の危機が重なって見える》

 と、やや肩肘張った文面とも言えなくないが、一方の息子はシンプルだ。

《師匠でもある父の、ハムレット像を上手く自分に落とし込んで演じることを目標にしたいと思います。普段の古典芸能とは少し違う自分にも、是非ご期待頂きたいと思います》

 今回の「ハムレット」には、男闘呼組の岡本健一(53)の息子でHey! Say! JUMPの元メンバー・岡本圭人(29)や、日本舞踊家で女優だった藤間紫(1923~2009)の孫で紫派藤間流の家元・藤間爽子(28)の出演も注目を集めている。

「親子共演にフレッシュな配役と話題になるネタには事欠きません。芸能ニュースでも取り上げられる可能性はあると思います。『どうする家康』の第1話で、萬斎さんは松本潤さんを食ってしまいました。同じように『ハムレット』が『家康』を食ってしまわないか、テレビ業界でもじわじわと関心が高まっています」(同・関係者)

註:(批評!舞台)ふくおか「万作の会」 口跡と眼力、光った子役(朝日新聞西部版夕刊:2010年1月15日=築城則子氏の署名原稿)

デイリー新潮編集部

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