北島康介の実家精肉店が今月末閉店へ 伯父は「康介は『やれば』と言ってくれたけど現実は厳しい」

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「チョー気持ちいい」などの名言で世を沸かせた金メダル男をご記憶だろうか。五輪連覇を成し遂げた元水泳日本代表の北島康介(40)。その実家で東京・西日暮里にある精肉店「北島商店」が幕を閉じる。水際ならぬ瀬戸際に追い込まれた店の窮地とは……。

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 冬ともなれば、雪をつけた北国からの貨物列車の轟音が路地裏に鳴り響く。そんな下町でホクホクのメンチカツを売る店の名が知れ渡ることになったきっかけは、2003年に行われた水泳の世界選手権だった。

 初優勝を成し遂げた北島が、インタビューで「実家のメンチを食べたい」と口にして、店には全国から祝い客が大挙して押し寄せたのである。

 アテネ五輪、そして北京五輪の平泳ぎ100メートルで2連覇を達成した際は、警察が交通整理にあたるほどの大行列となり、1日で1個180円のメンチカツが3千個売れたという。一時は大手百貨店や羽田空港でもメンチカツサンドを販売するほどだったとか。

 だが、店の近隣にある理髪店のご主人が明かすには、

「今では買物客の行列を見ることもなくなってしまったね。去年の暮れにご主人が“世話になった。辞めるよ”ってあいさつに来てさ。店先に立つ奥さんとも話したら“のんびりしたいから辞める”って。まぁ、我々世代は働きづめだったから」

 たしかに、北島商店の公式ホームページを見ると、昨年12月いっぱいで閉店する旨の記載があるのだ。

「今月いっぱいだろうな」

 事情を探るべく年明けに店を訪ねると、意外にもシャッターは下りておらず看板もそのまま。並ぶことなく名物を購入できた。

 はたして閉店は撤回したのか。創業77年を迎えた老舗に何が起きたのだろう。

「(営業を続けるのは)今月いっぱいだろうな」

 そう話すのは、北島の伯父で同社の社長を務める保男さん。弟である北島の父と共に店を支えてきたそうだ。

「おれん家(ち)は店先で売るよりも肉の卸がメインだったのよ。病院の介護食とか小学校の給食にも使ってもらっていたんだけど、いきなり辞めると言い出しても、得意先からすれば代わりの肉屋がなかなか見つからない。公的なところは規則がいろいろあるから、ウチもすぐには辞められなくなってしまったんだよね」

次ページ:「1日何十万円か売れてくれればよかったんだけど……」

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