沢村拓一“巨人復帰”現実味も「二の足」のワケ MLB執着の陰に“微妙な関係”の二人

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早々と見切った巨人

 米大リーグ、レッドソックスを自由契約になった沢村拓一投手(34)の所属先がいまだ決まっていない。あくまで希望はメジャー球団との契約で、マイナー契約ではプレーしない意向。ここまでずれ込むと、次善の策として3年ぶりのNPB復帰を視野に入れざるを得ず、古巣巨人への復帰が現実味を帯びつつあるものの、MLB残留へのこだわりは強いという。しかし、その思いの裏には“出戻り”を躊躇させる、巨人の二人の指導者の存在を指摘する声が聞こえる。【球人ニキ(たまんちゅにき)/野球ライター】

 行き詰まりかけていた沢村の野球人生は巨人を退団したことから開けた。2020年はリーグ優勝に貢献した19年同様、勝利の方程式の一角を期待されながらも不振が続き、7月に防御率6.08で2軍落ちした。2軍でも安定感が戻らず、中大の先輩である阿部慎之助2軍監督(当時)に3軍調整を命じられた。

 揚げ句の果てに9月には交換トレードでロッテへ放出。同年の推定年俸は1億5400万円で、史上最高額のトレード選手に相成った。

「全権を握る原(辰徳)監督には本人のために環境を変えた方がいいとの配慮もあっただろうが、落ち目の32歳を早々と見切ったように映った。ドラフト最上位の生え抜き選手にしては寂しい扱いだった」(在京球団スカウト)

 沢村は11年にドラフト1位で相思相愛だった巨人に入団し、1年目から2年連続で2桁勝利を挙げた。15年からはリリーフに転向し、同年に防御率1.32で36セーブ。さらに翌16年には37セーブでタイトルを獲得した。いわば功労者にもかかわらず、チームを追われる形になった。

 しかし、ロッテに移籍すると、水を得た魚のように躍動する。3者連続三振の圧巻デビューを飾ると、22試合で防御率1.71とチームに不可欠なリリーフ投手として復活を遂げた。

「茶髪、ヒゲなど禁止事項が多い巨人に比べ、ロッテは自由なチームカラー。マスコミの注目度も高くなく、伸び伸びと投げられる環境が沢村には合っていた。彼本来の荒々しさも投球面でプラスに出るようになった」(NPB球団の元監督)

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