「ブラッシュアップライフ」「女神の教室」にヒットの予感 バカリズムの巧みな脚本のポイントは

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 日本テレビの日曜ドラマ「ブラッシュアップライフ」(日曜22時30分)とフジテレビの月9「女神の教室~リーガル青春白書~」(月曜21時)がともに好スタートを切った。両ドラマ枠とも好評作品が続いている。民放ドラマ界は「日曜劇場」(TBS)の1強時代から乱戦期に入りそうだ。

大化けしそうな「ブラッシュアップライフ」

「ブラッシュアップライフ」は大化けしそう。物語の説明は簡単。安藤サクラ(36)が演じる主人公の北熊谷市役所職員・近藤麻美が、交通事故で死亡した後、ゼロから人生をやり直す。

 一種のタイムリープものであり、それ自体に目新しさはないものの、安藤の演技とバカリズム(47)の脚本が出色。共演陣も夏帆(31)、木南晴夏(37)、志田未来(29)、三浦透子(26)、染谷将太(30)ら実力派ばかりなので、面白くて味わい深い。

 バカリズムはOLの日々をコミカルに描いた日本テレビ系の連ドラ「架空OL日記」(2017年)でも原作と脚本を手掛け、大抵のドラマは省略する日常の小さなエピソードを並べ、面白い作品に仕上げた。今回もそう。

 物語は33歳で他界した麻美の生前から始まった。夏帆と木南はともに安藤が演じる麻美の小中学校の同級生役。夏帆は門倉夏希、木南は米川美穂にそれぞれ扮している。

 この3人が美穂の誕生日に集まり、レストランからカラオケ店に行く。その場面、約18分。これが面白かった。3人ともごく普通の会話をしているようで、現実の人間の日常を風刺していたからだ。

 3人が中2の時、熊谷ビューティー学院なる専門学校のポスターを真似て、プリクラを撮ったことを振り返った会話はこうである。

「結局、誰もここ行ってないしね」(夏希)
「みさごんが行ったよ」(美穂)
「てか、みさごんって久しぶりに聞いたんだけど」(夏希)
「ごんみさ、ね」(麻美)
「あーそうだ。途中から、ごんみさになったね」(夏希)
「後半、ごんちゃんだったよ」(麻美)
「一部では、ちゃんごんだった」(みーぽん )

 どうでもいい話である。けれど日常を生きる人が友人たちと交わす会話も大半が意味のないこと。通常のドラマと作法が異なるものの、かえってリアルだった。

 おまけに笑えた。33歳の3人が、元同級生「みさごん」の「ちゃんごん」までの変遷を語らったのだから。同時に大抵の大人も同じような会話をしていることに気づかされた。他人が聞いたら、あきれそうな話である。

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