栗山英樹監督“坂本選出”への苦悩は自業自得 もうひとつの醜聞、WBC制覇にも「暗雲」

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「坂本招集」の反発を予期?

 周知の通り、坂本を巡っては昨夏、20代女性への妊娠・中絶スキャンダルが発覚した。この件について本人、巨人球団共にスルーし、坂本は1軍に帯同したままでシーズンを終えた。

「確かに女性とは示談により解決済み。しかし、子どもたちの模範でもあるプロ野球選手が何一つペナルティーもないままプレーを続けたことに、道義的な責任はあるのではないかと違和感を覚えたファンは多かった。WBCでは日の丸を背負い、まさに日本を代表する選手として他国と戦うことになる。戦力として必要だからと、なし崩し的に招集すれば、一球団の選手の枠にとどまらない反発を受ける可能性がある。栗山監督はそのことを予期しているからこそ、躊躇しているのではないか」(遊軍記者)

 さる元NPB監督によると、栗山監督にはもう一つ、坂本招集をためらう理由があるという。21年8月、当時指揮を執っていた日本ハムで中田翔内野手の同僚選手への暴力事件が発覚した時のことだ。

「それまでにも、中田のチームメートへの横暴ぶりを見て見ぬふりしていた栗山監督に対しては、監督責任を問う声が上がった。球団は無期限の出場停止処分を科しながらも、すぐに巨人へ無償トレードで放出したことで、中田はケジメをつけずにグラウンドに復帰した。このトレードに大きく関与したのが栗山監督で、評論家時代にコーチを打診されるなどした原(辰徳)監督との深い関係性があったからだった」(同)

中田のトレード時期は誤り

 しかし、多くのファン、巨人の他選手までもが中田の“禊ぎなき復帰”にそっぽを向いた。昨季、中田が見せた復活の気配にも、いまだに冷ややかな視線を送る関係者は少なくない。

「暴力事件をうやむやしたタイミングでのトレードは、栗山監督も誤りだったと認めているようだ。自身がトレードの推進役を担ったことに後悔の念もあるだろう。今回のWBCで坂本を代表入りさせれば、中田の時のように醜聞を曖昧にしたままプレー機会を与えることになる。ハレーションが再び、起きることを恐れているとみている」(同前)

 09年以来のWBC制覇のためには是が非でも坂本を招集したい。一方で醜聞が蒸し返され、ファンの反感が再燃することで、他の代表選手のプレーにまで悪影響を及ぼす可能性も否めない。坂本自身も選手としてこのまま衰えゆくか、それとも巻き返すか、岐路に立たされている今季、開幕前から躓くことは避けたいだろう。前出の元WBCコーチがこう明かす。

「栗山監督は原監督に坂本を呼ぶべきかどうか、相談を持ちかけているようだ。日本が優勝した09年のWBCで指揮を執った原監督は、最終的には栗山監督自身が決断すべきというスタンス」

 坂本を代表入りさせるかどうかの判断は、史上最強の侍ジャパンの命運を左右すると言っても過言ではない。日本代表の全30選手は今月下旬までに判明する。

デイリー新潮編集部

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