犬を飼うと、猫にはない「健康長寿」効果が! 目を合わせて遊ぶと「幸せホルモン」が3.5倍に…「介護」「心血管疾患死」リスクも低減
困ると人の顔を見る
さらに、他にもこんな実験報告があると茂木教授が紹介する。
「中にエサが入った箱を鼻でつつくと、箱が開いてエサが食べられるようにしておき、その後、鼻でつついても開かないように人間が細工をする。普通の動物は、細工を施(ほどこ)した後も、開くものだと信じ込んで壊れるくらいに延々と箱を足でひっかき回し続けたりするだけなのですが、犬は途中まで開けようと頑張ってダメだと分かると、まるで助けを求めるように近くにいる人間の顔を見る。これも犬にしかできない反応です」
このように、異種であるにもかかわらず「eye to eye」のコミュニケーションが取れる特別な関係の人間と犬。ゆえに、最古の家畜として、両者は“共生”することができてきたのだ。
「犬」と「犬以外」を飼う意味は異なる
「そもそも、犬に触ることはできますが、猫は嫌がる場合が多い。したがって、犬を飼うのと猫を飼うのとでは、その意味は大きく異なると思います」
と、茂木教授が続ける。
「犬の場合、eyeコミュニケーションやボディーコミュニケーションができるパートナーとして飼う面が強く、猫を飼う行為は観賞目的の意味合いが強い。猫の場合は、動物園の動物を見て楽しむのに近いのではないでしょうか。その意味においては猫に限らず、『犬』と『犬以外』の動物を飼うことの意味は大きく異なるといえます。こうした特別な関係の人間と犬が接することで分泌されるオキシトシンには、リラックス効果や痛みの閾値(いきち)を下げる効果もある。やはり、犬を飼うことは人間の心の健康に極めて有効だといえます」
科学的な裏付けを伴った犬による心の面での「癒やし効果」。だが、それだけではない。体の健康、とりわけ高齢者の健康寿命の延伸にも犬は大いに貢献してくれているのだ。
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