冬ドラマ3選 前評判の高い井上真央、6年ぶりの草彅剛、ヤクザのような西島秀俊に注目

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テレビ朝日「警視庁アウトサイダー」(1月5日スタート、木曜9時)

 西島秀俊(51)が主人公の刑事・架川英児を演じる。助演はやはり刑事役の濱田岳(34)と上白石萌歌(22)。この3人を中心に物語は進む。うまい3人が揃ったから、見応えのある作品になりそうだ。

 英児は警視庁桜町中央署の刑事課に勤務する警部補。かつては本庁の暴力団担当だったが、あるトラブルに巻き込まれ、所轄の桜町中央署刑事課に飛ばされた。

 英児のキャラが面白い。サングラスにダブルのスーツ。まるでヤクザかマフィアだ。ガラも悪い。近年の刑事ドラマでは観ない存在だ。

 ただし、ホンモノの暴力団担当刑事もヤクザに迫力で負けないよう、気合いの入った身なりをしているから、実はリアル。映画「ドライブ・マイ・カー」によって世界的な俳優になった西島が、こんな役をやってくれるとは思わなかった。

 英児がアウトサイダーなのは見た目だけでない。時には組織のルールを破り、グレーな手段を取ることもある。もちろん、悪を叩きのめすためだ。

 一方で人情に厚く、世話焼きでもある。また修羅場をいくつも経験してきたのに、血が苦手。特異な刑事だ。さらに本庁への復帰を強く望んでいる。出世を希望しているとは思えないから、何か別の目的があるのだろう。

 濱田が演じるのは桜町中央署の刑事課巡査長・蓮見光輔。刑事課のエースだ。頭がキレ、推察力も高く、冷静沈着。人あたりも柔らかく、英児と違って完璧な刑事である。

 ところが、光輔が刑事になった背景には重大な秘密があった。人あたりが良いのも本来の人格を隠すためだった。

 それに英児は気づき、秘密を黙っている代わりに、バディになろうと光輔に提案する。お互いの利益のためだ。これを光輔が受け入れ、2人は組むことになった。ただし、司令塔は年下で階級も下の光輔。頭が良いからである。

 上白石は桜町中央署の刑事課の新人刑事・水木直央を演じる。父親は警視庁の副総監であるものの、それは伏せられている。

 警視庁入りした動機は公務員になりたかったから。なので、ハードな刑事課の仕事には消極的だった。もっとも、英児と光輔と一緒に捜査に臨むうち、刑事としての使命感が芽生えてくる。

 原作は加藤実秋氏(56)の人気小説シリーズ。刑事ドラマの新領域を切り開けるか。第1話での英児と光輔は大学教授宅で起きたハウスキーパー刺殺事件を追う。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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