ソフトバンクが4軍制を導入…“第2の千賀”を生み出すメジャー級「育成システム」の中身
中学生以下は入場料が無料
また、ファン層のさらなる拡大という観点に立ち、子供たちに野球に取り組んでもらうきっかけにしたいという狙いもあり、3、4 軍戦の試合では、中学生以下のこどもは自由席が無料。太田専務は「できるだけ多くの試合をやりたいし、多くの子供たちにも見てもらいたい。ホークスの選手になりたい、と思わせる機会を増やしたい」と語った。
ハード面でも惜しみなく投資を行い、選手数も実戦機会も増やし、選手間の競争意識をさらに高めることで“第2の千賀”を生み出せる態勢を着々と整えている。
そのためにソフトバンクは、2021年、2022年の育成ドラフトで、いずれも14人の大量指名を行った。その中で特筆すべきは、2022年の育成ドラフトで文武両道の“二刀流大学生投手”を指名したことだろう。それはまさしく、育成システムの拡充があってこその決断でもあった。
京大のエース右腕
育成ドラフト7位指名を受けた京大のエース・水口創太は、最速152キロを誇る1メートル94の長身右腕だ。福山龍太郎アマスカウトチーフが「今回のドラフト候補の中でもなかなかいない“原石”です。期待と夢が膨らみます」と絶賛するほど、魅力たっぷりのポテンシャルを備えているのに加え、頭脳も明晰。医学部に籍を置き、2023年2月には、医学療法士の資格を得るための国家試験にも臨む予定だ。
まさに、文武両道の“二刀流右腕”である。国家試験をクリアすれば、まさしく文字通り「投げる医学療法士」が誕生する。
「育成の中で、どう自分が成長できるか。それを具体的に思い描くことができたので、挑戦したいと思いました。まずは支配下に上がれるように、大きな目標としては、千賀投手は、育成から球界を代表する選手になられた。自分もそういう道を歩めるようにしたいです」
そう語る水口は当初、支配下指名以外ならプロ入りを拒否する意向だった。ただ、指名後には近畿地区担当の稲嶺誉スカウトから、選手個人のレベルや実力、これまでのキャリアに応じた育成プランを事細かく説明された。
2023年から4軍制に拡大される育成システムでは、選手に合わせた個別の練習メニューが綿密に組まれる。さらにルーキーの振り分けに関しても、アマ時代の経験値や体力レベルなどに応じて「入り口を変えるという考え方」と福山アマスカウトチーフは説明する。
筑後の育成施設に関する球団作成のパンフレットや資料も熟読した水口は「野球に集中できる環境が素晴らしかった」と球団の方針に納得。育成でのプロ入りへ“翻意”した。
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