ソフトバンク、育成の“超拡大路線” 他球団の追随許さぬ「4軍制発足」の狙い
プロスポーツと地域との「ウィンウィン」の関係
筑後市と球団間の「地域包括連携協定」には、球団の育成・選手強化はもちろんだが、地域の活性化、市民へのサービス向上を図るための連携事業として「6項目・32事業」が明記され、その中に「筑後市への住所異動」という事業名がある。
筑後の「若鷹寮」には、原則として高卒選手は5年、大卒、社会人出身選手は2年、寮生活を行うというルールで、それに伴い、新人選手はまず筑後市へ住民票を移すことになる。
当然ながら、選手の納税地となる。さらに異動者が1人でも増えることで、1人あたり数万円という国からの交付税が増える仕組みになっている。5年に一度の国勢調査での人口数に基づき、国は補助金や事業予算の配分を決めるのだ。
地域包括連携協定に基づけば、2022年10月に行われたドラフト会議で指名された支配下、育成のルーキーは計20人。これが、筑後市への転入者となるわけだ。
4軍発足の記者会見に臨席した筑後市長・西田正治は「筑後ホークス、若鷹が活躍してくれて、全国的に筑後の名前が認知され、恩恵を受けた」と感謝を語り、筑後の施設がオープンしてから、初の国勢調査となった2020年度に、人口減で悩む地方の周辺市町村とは対照的に、筑後市はその前回調査までの5年間で488人の人口増。周辺の首長たちからも「ホークスが来たもんね」「街に活気がある」とうらやましがられたという。
プロスポーツと地域との、まさしくウィンウィンの関係を証明している。この充実した環境で、ソフトバンクは3軍制を「4軍」へと拡大するのだ。<後編に続く>