吉田正尚の契約金が高騰した理由 ヤクルト村上に与える“意外”な影響とは?

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 村上宗隆(22)の目の前には二つの道があった。

 一つはなるべく早く渡米する道。ただし、25歳未満での渡米は、メジャー労使協定により年俸が大幅に抑えられる。大谷翔平はそれを承知で23歳で海を渡った。

 もう一つは、25歳を待ってのアメリカ行きだ。3年後になるが、3億ドルともささやかれる大型契約が見込める。

 村上は9日、ヤクルトと3年総額18億円で契約更改した。席上、球団はポスティングを容認したという。

「逆に言えば“3年間ポスティングせず”ということ」

 とスポーツ紙デスク。実は、前日の8日、ある報道が日米を駆け巡った。

〈吉田正尚(29)がボストン・レッドソックスと5年9千万ドル(約123億円)で契約〉

 日本人野手史上最高額である。これが村上の心を揺さぶったのは想像に難くない。村上は、大谷ではなく、吉田と同じ道を選んだのだ。

 吉田の契約額は、

「当初予想のほぼ倍額で、日米マスコミともに驚いた。四球が多く、三振が少ないなど細かい統計上の利点が想定以上に好感を持たれたのかもしれませんが、それにしても高すぎる」

 代理人は強欲で知られるスコット・ボラス氏だが、

「ボラスですら即決するほどの高額オファーでした」

「日本でいうと阪神みたいな球団」

 全国紙記者の見立ては、

「純粋な吉田の評価ではなく、今年のFA市場の相場感ですね。9年3億6千万ドルでヤンキースに残留したアーロン・ジャッジは別格として、Aクラスの外野手が駒不足だった。ジャッジを取れなかったレッドソックスとしては、早く代役を決めたかったのでは?」

 ただし、高値で売れたとて手放しでは喜べない。

「アメリカは日本以上に、年俸に見合った働きをしているかを見る。その点、吉田は身の丈以上のハードルを課されたわけ。守備に難があり、足も速くなく、故障も多い。ファンもマスコミも過激なレッドソックスは、日本でいうと阪神みたいな球団。オリックスという地味な球団でぬくぬくと育った吉田が辛辣な批判に耐えられるかどうか」

 と先のデスク。村上にも火の粉がかかりそうで、

「吉田がコケたら日本人野手相場も急落必至です」

週刊新潮 2022年12月22日号掲載

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